方眼

大いなる勇者の方眼のレビュー・感想・評価

大いなる勇者(1972年製作の映画)
4.3
1972年”Jeremiah Johnson”。19世紀実在の山男ジョンソンをモデルにしたこの「行きて帰りし物語」は、タカ派ジョン・ミリアスの脚本を、監督とレッドフォードがいい具合にリベラル化して味わい深くなった。山に入り最初に出会う賢人・クマ狩りの爺さんはジョンソンをpilgrimと呼ぶ。「なあ旅の人」と言った感じ。クロウ族と交易し、一家惨殺された小屋を経て、スキンヘッドの旅人と共に移動、フラットヘッド族の嫁をもらう。絶妙にいい顔の嫁さん、なぞの食べ物にはジョンソン慣れず。旅から旅、登場人物の出入りは神話的。中盤まではユーモアもありコーエン兄弟感。流浪の果ての安住、一転して復讐の旅。後半で同じ人物にまた出会うが、前半と違った目線でこちらも見る。そうか、この人たちも似たような経験をしたのか。語らず語れず、目線の交錯でコミュニケーション。雪の白さが、語り口の余白も思わせる良作。
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