一人旅

スパニッシュ・アパートメントの一人旅のレビュー・感想・評価

5.0
セドリック・クラピッシュ監督作。

フランス出身のセドリック・クラピッシュが監督・脚本を手掛けた2002年制作の仏西合作映画で、本作は『ロシアン・ドールズ』(05)、『ニューヨークの巴里夫』(13)と共に構成される「青春三部作」の第一作です。

恋人を残してスペイン・バルセロナに単身留学した20代半ばのフランス人青年を主人公にした物語で、バルセロナのアパートで共同生活を始めた主人公を含め国籍もバラバラな男女7名の騒がしい青春の日々を描いた青春群像ドラマとなっています。

フランス、スペイン、イギリス、ドイツ、イタリア、デンマーク…と欧州各国の若者たちが一つ屋根の下で共同生活するという多国籍青春映画で、一応の主人公はロマン・デュリス扮するフランス人青年ですが、個性豊かな同居人たちの悲喜こもごもなエピソードが群像劇的な構成となっています。フランスに恋人(オドレイ・トトゥ)がいながら孤独な人妻(ジュディット・ゴドレーシュ)と恋人関係になる主人公や、途中から共同生活の仲間入りをするレズビアンの女性(セシル・ドゥ・フランス)、野性的な男性とラテン的ノリで浮気を重ねる英国人女性…と若さゆえに落ち着きのないエネルギッシュな若者たちの騒々しい日常と友情をユーモラスに描きつつ、異国の地で酸いも甘いも経験した主人公の心の自立と新たな未来への歩み出しまでを映し出した青春群像ドラマとなっています。

また、本作はグエル公園、サグラダファミリア、旧市街、バル、地中海…といったスペイン・バルセロナの建築物&文化&自然が多数映し出された観光映画としての魅力も兼備していて、主人公と人妻のデートシーンではサグラダファミリアの工事風景も見ることができます。
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