脚本家の生方美久のテレビドラマが好きな人にお勧めの映画。
【生方脚本との親和性】
主人公の槙生の「私はあなたを踏み躙らない!」「私はあなたの選択を尊重する!」みたいなキャラ造形は、まさに生方脚本の登場人物がそっくりそのまま言いそうなセリフで、テーマも似た物を感じた。
【対立<摩擦 → 貧弱な葛藤による弊害】
なるべく対立ではなく摩擦を描くことで優しく緩い世界観を醸成する一方、反対に葛藤が貧弱に映る。そのため、亡くなった母親の日記を見せなかったことによる槙生と朝の終盤の対立も、弱くて緩くて幼稚に見えた。
【留学資格における男女差別?】
ある女子生徒が女性(体力不足)という理由だけで海外留学プログラム?の選考を落とされる、といった事態が起こるが、あまりにもそれは露悪的で本作の傷だと思った。真偽不明の男女差別を助長させるべきではないと思う。
結論、多様性やLGBTQにも目配せできるマイノリティのナイーヴな感情のわかり手でありたい作者の物語としてみた。それはまるで、違国として互いに尊重しつつも適度に適切に分かり合いたいという独裁者の砂上の楼閣だとしても。