踊る猫

ステイの踊る猫のレビュー・感想・評価

ステイ(2005年製作の映画)
4.1
これはなかなか素晴らしい。後半になるにつれて尻上がりに面白く感じられた。とある精神科医と自殺志願者の青年が迷い込む悪夢のような世界を描いているのだけれど、映像面も綺麗で見応えがある。デジャ・ヴのような現象、予知能力、流血、死んだはずの人が生きている(逆に生きているはずの人が死んでいる)……惜しむらくは自殺志願者のライアン・ゴズリングが抱いている罪悪感がもう少し強調されていれば(つまり、もっと「分かりやすく」作られていれば)と思わなくもない。だが、私好みの映画ということもあってか点がついつい甘くなってしまった。マッシヴ・アタックが流されるところなど見事。虚実の境目が分からなくなってしまう不条理感はリンチか、もしくはそれ以上に押井守的なところがある……と書くと頓珍漢も度が過ぎるだろうか。この世界は夢なのではないか、という仏教的な世界観に取り組んだ映画として、なかなかの達成を示していると思う。
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