このレビューはネタバレを含みます
『大いなる自由』を鑑賞したことをきっかけに見た。ナチスがどのように同性愛者を迫害し、そしてその影響が戦後も西ドイツにて残ったことを物語るドキュメンタリー。1920年代に(当時は当時で色々と問題や困難はあったのだろうけれども)ここまで大規模なLGBTQコミュニティーの場があったことにシンプルに驚いた。てっきりナチス台頭以前も同性愛やトランスジェンダーは隠れて生活していたのだろうと思っていたので。このドキュメンタリーを見た後では、『大いなる自由』のラストでハンスは元の自由が戻ってきていないことに絶望したのかもしれない、と思った。
同時に『レオポルトシュタット』で描かれた一度認められたユダヤ人の市民権がナチスドイツの台頭によって奪われていく様子は、同性愛者が迫害されていく様子とよく似ていたと感じた。これは現代でいう一種のバックラッシュなのだろう。変化や異なると思われるものを恐れる大衆の心理は変わっておらず、今でも同様のことは起こり得る。