いつも通り、原田真人はきっちり丁寧に作っているので好感が持てる。
恐らくこの映画の最大の失敗は、原作に忠実過ぎたことだろう。佐々淳行の自慢話を延々聞かされているようで気分が悪い。
“我々の最大の敵は連合赤軍じゃない!”(テレビにかじり付いて見ている大衆や、取材現場にうんざりして早く東京に帰りたがっているマスコミが最大の敵だ、と言いたいらしい…)には、呆れかえって笑ってしまった。
しかし、日本の警察ってなんてアホなんだろう。もしかすると日本の警察批判という点から言えば、この映画はベストワンかも知れない。
有事になると命令系統はメチャクチャになるし、命をかけてでも自発的に飛び込むヤツは一人もいない。当然ロジスティックなんか何も考えていないから、冬の雪山でオシッコを我慢する根性比べみたいな話になってしまう。
実際、警視庁と長野県警の軋轢で、警視庁の人員しかカップヌードルは食べられなかったという話が片やありながら、長野県警本部長を見事なまでに無能なダメ男に描いちゃうし。
差別意識丸出しの映画にしか見えなかったのは、果たして原作の意図通りなのか?