「渋谷の黙示録」又は「ユリシーズ1998」
指輪が欲しい。あの指輪の輝きは魔法。卵型に整えた私の指にこの指輪はぴったり収まって私を輝かせてくれるはず。問題は価格が12万円。
ジュエリーショップの営業時間は21時。閉店時間まで12万円かき集めるには援助交際しかない。
ユミの地獄めぐりが始まる。
ホームパーティの為に女子高生を集める料理自慢の男
女子高生が口に含んだ葡萄をコレクションする男
ビデオレンタル屋に見せつける為に女子高生を雇う自慰男
そして一番危険なキャプテンEO
男達は簡単に性的妄想を「売る」女子高生に群がり、同時にその不品行を責め立てる。
男達が勝手に自分の頭の中で「盛った」女子高生像に淫してそして女子高生を罰する。SNSの世界に蔓延するバッシングと同じだ。
ユミが巡る悪夢は「地獄の黙示録」のようでもあり「オディッセイア」を一日の出来事に置き換えたジェームズ・ジョイスの「ユリシーズ」の様でもある。
テキストやCG、短いカットの積み重ねなどを使って現代の黙示録を作った庵野秀明(新人)の意欲作。
ラスト、渋谷川を歩く彼女達のふてぶてしさは希望すら感じる。
余談。「カメラを止めるな!」のしゅはま・ポンッ・はるみさんがちらっと出てます