『ドブ川を堂々と歩く、輝かしい少女たちのお話』
20201212 143
村上龍原作、庵野秀明(新人)実写初監督作品。公開時に見て以来の再鑑賞(「シン・エヴァ」前とあってアマプラで公開されていた)
原作は未読だが主人公・祐美のモノローグで全編が進行する感じから、小説を忠実に描いているのだろうと想像される。(いわゆるコギャルの)女子高生が、高額な指輪を手に入れるためにエンコーを試みる、とある一日が描かれる。自分の欲望を起点とした地獄巡り、もしくは何者でも無い女子高生の自分探し、といったストーリー。
劇中にも登場するレンタルビデオ店に並べられていた当時のVHSテープみたいな荒い映像は、ローポジションで下半身を舐め回す実験的なカメラアングルと共に、生っぽい少女達のエロさを捉えている。複数のホームビデオでマルチに撮影した映像をアニメみたいに短くカッティングした編集や、自問自答のモノローグ、アングラ演劇的な演出など、随所に当時のエヴァに通ずる庵野監督らしい演出も。
出演する少女達はほぼ新人で説得力のある演技では無いが、なにか虚構を生きている感覚を纏っていて、そこが逆に少女達のリアルな空気感にも感じられる。
三輪明日美のちょっとキーを外しながら歌う「あの素晴らしい愛をもう一度」にのせて、主役の4人が渋谷川を堂々と行進する長回しのエンドロールは、少女たちの輝きとドブ川の対比が素晴らしく(ある意味、この映画で語られたコトのメタファーとして)カタルシスとなっている。この映画のなかで最高の名シーン。