矢吹健を称える会

誉れの一番乗の矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

誉れの一番乗(1926年製作の映画)
3.3
 冒頭とラストで出てくるアイルランドの描写が『静かなる男』そっくりで、こんなところにもう原型があるんだと驚かされた。特に、画面奥に羊の群れがいるショットはそっくりと思う。手前にある、枝の太い樹木も同じだったろうかと、『静かなる男』を見返したくなる。
 途中の悪夢的スローモーションなどの超現実的な演出は、何がしたいねんとも思うけれど、ジョン・フォードもこういう色んなことを試していたんだな~~と知られて面白かった。

 あと最初のクレジットでびっくり。主演がレスリー・フェントン!? キャリア初期は俳優だったんですね、この人。まあ、当時似たような経緯で監督になった人、結構いるんだろう(フランク・ボーゼージもそうだったはず)。
 乗馬服のジャネット・ゲイナーがクッソ可愛いのだが、しかしキャラとしてはいまいち。

 かつてフィルムセンターの「MoMAコレクション特集」で上映された際は綺麗なフィルムだったが、今回シネマヴェーラで使われた素材は画質が悪く、途中で画面右下に妙なロゴが入る(「Film Preservation Festival」と書いてあった気がする)。こちらも「見られるならなんでも」という気持ちで臨んでいるので別に構わないのだけれど、さすがヴェーラ、相変わらずカオスだなあと思った。