デュード

もうひとりいるのデュードのレビュー・感想・評価

もうひとりいる(2002年製作の映画)
3.2
新人監督の一作目、清水崇監修。
低予算ながら強烈な印象を残す怪作。

廃校に、新人アイドル達のグラビア撮影の為にやってきた6人。
「ドッペルゲンガー」を見たプロデューサーが、異様な死に方をしたことから恐怖が始まる。

舞台は廃校のみ。本編62分。
開始直後のビデオ撮りの安すぎる画面作りを見て、視聴をやめてしまうのはもったいない。
だんだんと、得体の知れない魅力が見えてくるからだ。

実際この映画は一筋縄ではいかない。
初期の黒澤清を連想させるOPは不気味でいて、どこか物悲しさを感じさせる。
これは映画全体を覆う雰囲気だ。

この映画のドッペルゲンガーは、もうひとりの自分を直接殺しに来る。
その殺し方も、「着信アリ」みたいに被害者の体を鯖折りにしたり、ヨガのポーズをかなり過激にさせてたりして、インパクト大。
更に厄介な事に、ドッペルゲンガーに与えたダメージは本人にも影響する為、うかつに反撃する事もできない。
鏡を見ると正体を表すので、お互いに鏡を見せ合って探り出そうとする、「遊星からの物体X」みたいなシーンもある。

被害者の死にっぷりも凄い。
体をあらぬ方向に曲げて、壮絶な表情を浮かべてるうえに、CG処理でこれでもかと歪めたりして誇張する。
この表情は強烈で、一生忘れられないだろう。

難点としては、ドッペルゲンガーの一部の動きがシュールすぎて、コメディと化してるシーンがあること。
とってつけたようなアイドル同士の安い友情描写。
そしてやはり、泣きたくなるほど低予算なことだ。
それら弱点を鑑みても、この映画を凡庸にしてしまうことはない。

深夜、もしくはこの映画内と同じ真昼間の時間帯に見るのがオススメ。
油断してるとドキッとしてしまう、そんな映画だ。