似太郎

手塚治虫物語 ぼくは孫悟空の似太郎のレビュー・感想・評価

3.7
手塚プロダクションが制作した日テレの特別番組。手塚治虫原作による『ぼくの孫悟空』誕生の秘密に迫る。

監督は虫プロ出身のりんたろう。彼は正直言って『銀河鉄道999』だけで終わった一発屋みたいなアニメーターなのだが、結構叙情的で美しい短編アニメを作れる才能もある。(お気に入りは『迷宮物語』)

本作は残念ながら、前半の戦前〜戦時下の日本の描写が良かっただけに中盤SF調の『孫悟空』のパートになった途端、お子ちゃま向けアニメになり白ける。こういうものを期待していたのではない。

正直言って『ぼくの孫悟空』の元ネタの中国産アニメ『西遊記/鉄扇公主の巻』を知らなければ殆どチンプンカンプンな内容。どっちつかずでアンバランスな雰囲気が宮崎駿の『風立ちぬ』を想起させた。

このアニメの放送終了後に手塚治虫が急逝したのを考えると、不穏な時代(平成)の始まりを告げる契機みたいな印象もある。何にせよ、りんたろうには荷が重かった。

前半は60点、後半は−30点みたいな落差がある。手塚先生の思想を反映させたエンディングテーマ『地球のうた』が泣かせる。🌍

最近りんたろうは『山中貞雄に捧げる/鼠小僧次郎吉』(キャラデザが大友克洋)という短編アニメを作ったらしいが、そちらも観てみたいと思う。
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