籠

妻の心の籠のレビュー・感想・評価

妻の心(1956年製作の映画)
4.0
意図的にすれ違おうとする家庭内での表情や動きの瞬時のアクションをタイムリーに記録したカット割が凄すぎる異質さに気持ちが悪くなる…三船敏郎扮する体育会系銀行マンのシーンの爽やかさに多少は中和されるが不機嫌な女王高峰秀子はひたすら我が道を往く。三好栄子の顔は別格にして千秋実の気持ち悪い動きと女王の打ち明け話に対する杉葉子の表情が出色だった。
こんな豪華キャストで誰も語らない50年代では浮いた存在だが小林桂樹の佇まいなどは「女の中にいる他人」に繋がっていると感じた。「ひき逃げ」含めて晩年の異様さには重要な作品ではなかろうか。

女王が出入りする店は見るからにおいしそうな洋食屋だった。店を営む夫婦役が加東大介と沢村貞子と実の姉と弟にやらせているのもある意味異様だが加東大介の息子が営んでいた永福町の黒森庵の独特な蕎麦の忘れられない味を思い出した。
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