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君たちのことは忘れないのnagashingのレビュー・感想・評価

君たちのことは忘れない(1978年製作の映画)
3.5
母性のディストピアすぎる。第二次世界大戦中のソ連が舞台なのに、完全に現代日本のヒキニートの話なのがヤバい。幼なじみ(元カノ)の結婚を無精髭ボーボーで傍観する陰キャ、みたいなシチュエーション、近年のポップカルチャーでいくど目にしたことだろう。終戦を告げる松明や勝利を祝う花火の異様さが、戦争から逃げた者の後ろめたさを雄弁に物語る。平和が訪れた村を照らす陽光と家屋に満ちる暗闇の対比、情景の変化に託される季節のめぐりと次男の停止してしまった時間の対比もひたすらえげつない。サスペンスフルな状況に耐えきれずなし崩し的に孤立していく葛藤劇としても上出来。
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