【不条理すぎる展開】76点
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監督:黒沢清
製作国:日本
ジャンル:ホラー
収録時間:45分
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2024年劇場鑑賞24本目。
45分という中編なので、鑑賞前は短文感想で終わらせようと思っていましたがとんでもない。さすがホラーの巨匠、黒沢清監督といったところでしょうか。ホラーの技法を熟知していらっしゃいます。正直にいうとよくわからない、難解です。困ってしまい、鑑賞後にあらゆるネタバレサイトを閲覧した程です。ただ、その中でもやはりしっかりとした答えがなかったため、この疑問や違和感は普通なのだと思えました。人を怖がらせる手法というのは星の数ほどありますが、今作のこの手法は王道でもなく、ホラーのプロフェッショナルだからこそ出来たものではないのかと思えます。なんなんだろう、うまく言葉に表せなくて悔しいです笑
ある料理教室で生徒達に料理を教える松岡。その中で、田代という生徒は、1人いつも隅っこの方で料理をしているのだが様子がおかしくてまわりの生徒の噂である。
確かに料理教室がホラーの舞台となると一気に緊張感が増します。包丁が普通に散在する空間なので、少しヤバい人が1人いるだけでも恐ろしくなってしまいます。田代は精神的に少しおかしなところがあり、ここから松岡と周りの者達が徐々におかしくなっていきます。と、おかしくなると言いましたが、その原因は正直よくわからない。今作は鑑賞者の想像力を良い意味で利用することにより、恐怖演出を最大限に引き延ばせた好例であると思われます。なんでそこでその行動にでる?鏡の前に行った意味は?インターホンの向こうにいたのは?妻の大量の缶を捨てる意味は?あげだしたらキリがありません。しかし、それらの明確な答えは決して作中では描かれません。ああ、世の中って確かに理解し難いことばかりだよな、と開き直ってしまうくらいなのですが、それが正解の感想なのでしょうか。
R15なので、苦しい殺人シーンはあります。しかし、幽霊が出てくるだの、B 級ホラーに多い突如の爆音演出などはありません。その代わりに、見ていてなんだか嫌になる演出、撮り方、音響などは散りばめられていて、全く無駄のない45分となっています。モヤモヤは残りますが、あれは何だったのか、と自分で考えるのも映画の一興と言えましょう。恥ずかしながら、これまであまり黒沢清監督の作品は見たことなかったのですが、今作の作風から大いに興味を持ちましたので、これから漁ってみたいと思いました。
まあとにかく意味がわからない映画。でもそれが良い。ジャパニーズホラーはこうあるべきでは、と思えてしまいます。