雨音

包帯クラブの雨音のネタバレレビュー・内容・結末

包帯クラブ(2007年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

2003年に天童荒太が発表した小説の映画化。

その1:傷ついた人の、傷ついた場所に包帯を巻きに行く。それをデジタルカメラで撮影し、その傷ついた人へメールで送る。その2:活動範囲は市内に限る。
その3:報酬はもらわない。
その4:包帯代は、部員のカンパでまかなう。
以上が“包帯クラブ”のルール。

他人が、心におった傷に包帯を巻く事に違和感を感じたワラに、「顔の見えない他人だからこそ、言えることってあると思う。」とギモが伝える。

傷ついた人にはきっと、どんなことでも良い。少し前を向いて歩けるキッカケが必要だ。

包帯を巻いてもらう事よりも、誰にも言えなかった思いを聞いた誰かが、自分の為に行動してくれた事がその人の救いになっているんだろう。

一見重いテーマに感じるけれど、テンポの良さ、笑えるシーンも沢山あって、押し付けがましくなく見終わった後に希望を貰える作品。

☆他の見どころ☆

出演者が今も第一線で活躍している実力派だけれど、この頃から本当に演技に説得力があって、人柄も出ていて、長らく活躍している理由が分かる。

特典映像では仲の良い姿もたっぷり観られる。

☆田中圭さんの見どころ☆

エレベーターから降りてきたギモの爽やかさからの可愛さはクセになる。
それなのに、実はめっちゃ強いというギャップも最高!
個人的に柔道部の頃のオールバックにキュンキュン。

ナレーション部分を担っているのも圭さんで、甘く優しい声が心地よい。

廃墟でのシーン。
過去のエピソードをぽつりぽつりと話すギモ。

涙を流す横顔が今にも消えてしまいそうで、美しさと儚さに惹き込まれる。
いつも明るく優しいギモの過去。
それを焼き払い前へ進んで行く美しいシーンだった。

その後、謎のキャラが降臨した所が少しモヤモヤしたけれど…

☆特典映像☆

石原さとみさんのクランクアップシーン。
出番が終わりホテルに戻っていた圭さん。
さとみちゃんのクランクアップシーンにかけつける。
他のキャストとハグをするさとみちゃん。
圭さんをスルー。
圭さんの「おーい」という突っ込みからの
ハグ。
2人の関係性がわかる。

柳楽くんとの距離感も良い。
話す時の顔の近さ。
ハグ。イチャイチャ。

未公開シーンにはものすごく可愛いギモからディノへの「好き」と呟くドアップがある。
監督からみんな1時間ぐらい役づくりしていたのにあれで全部持って行った!
といわれたあとに
「だって優弥のこと好きだもん」って公言するところ。
今も昔も変わらぬ人たらし。

柳楽くんのクランクアップシーンではVTRで登場。
何故か1人外で小声での挨拶。
圭さんが映った瞬間に何やらいじる監督と笑うスタッフ。
そこに居ないのに、一瞬で場の空気が変わる。
圭さんの現場でのムードメーカーぶりが感じられる瞬間だった。

☆舞台挨拶☆
王様のブランチで、監督に頼まれて生放送で悪口を言ったのに上手くフォローしてもらえなかった。

というエピソードを語る圭さん。
その番組を観ていない観客への説明がとても上手で、最後のオチまで完璧に決めるあたり、若い頃から話術も抜群。

この記事にトークの一部あり
https://www.google.co.jp/amp/s/s.cinemacafe.net/article/2007/09/15/2486.amp.html

演技のうまさは勿論、愛され力や場の空気を作るうまさも、この頃からだったんだなぁと、しみじみ感じる事が出来る貴重な映像だった。

買ってよかった。


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2021.3.7 追記

2007年に販売された
「プラスアクトvol.12 」
ずっと欲しかったこの雑誌を手に入れることができた。
いまや高額転売されているこの雑誌。
粘りの甲斐ありなんとか定価以下で購入。
このインタビューには包帯クラブの撮影前から撮影中、当時のエピソードが惜しげもなく語られている。
包帯クラブ好きとしては宝箱を覗くような気持ちだった。
その一部を以下に伐採。

ギモに決まった後に参加したオーディションで、監督から無茶な注文があったという圭さん。
「オカマレベル5で」「渡部篤郎風に」とか「田中邦衛風に」とか…色々試したかったのか僕を使って遊んでるだけだったのか…
それから田中圭は物真似が得意だということになり、バラエティ番組でも無茶振りされて散々だったと語っている。

圭さんの追い込まれた姿…目に浮かぶ。
そしてモノマネ見てみたい。

役柄が奇天烈すぎたという圭さん。
台本の決定稿で準備稿にはなかった設定が加えられて、こうきたか参ったなという気持ちになったそうだけれど…これはなんのことかな?

まさかオカマレベル5が監督忘れられずあの設定が加わった?
なんの設定が加えられたのかは紙面では語られていなかったがなんとなく察しがつく。

紙面では撮影の裏側の話も沢山。
爆竹の音にびびってカクカク膝を振るわせる芝居のシーンでは、モニターを見ている人たちからすごい笑い声が起きたとか。
「そんなにカクカクした意識はなかったけど
こんなにカクカクしてたんだという衝撃があったくらい…でもウケたてたからよかった」

笑かそうとしていた訳じゃなかったんだ。
ト書きにある動きじゃなかった事にもビックリ!
あのシーン面白かった。

共演者とのエピソードも語られているが、不憫な一文が。
「年上だしお兄さんっぽく振る舞うつもりが
始まって1週間くらいでギモじゃなくて、キモと呼ばれていた。」

圭さんらしい(笑)
本当に上からも下からもイジられるよね。
リアクションがいいからかな?
「うぉーい!!」って言ってる姿が目に浮かぶ。

でも柳楽君はかなり慕ってくれたらしく、食事に誘われても「圭さんがいかなければ行きません」も答えていたとか。
メイキングの2人を見ていたら本当に仲良しってことがよく分かった。

ここに書いたのは少しのエピソードで、プラスアクト には監督の話やさとみちゃんの話などが綴られていた。
いまや販売されていないこの雑誌…
また販売しないかな?
色んな人に見てほしい。

2021年秋には、堤監督と再びタッグを組む圭さん。
そのインタビューの一部。

 久々に堤監督と再会した田中は
「前回はとにかく堤監督からのムチャぶりがすごかった思い出があるんですよ。今回も楽しみ半分、怖いです(笑)」と戦々恐々。

 堤監督は「田中くんには、どこに心があるのか(笑)完全には理解できない、不思議な佇まいがあるんです。監督の負けだと感じるような、打ち崩させない何かがあるので、『包帯クラブ』でご一緒してから今まで、ずーっと隠し玉みたいに思っていた存在」と話し、「この人の存在感の芯の部分に勝ちたいし、今回は“やっぱり田中くんは田中くんだなぁ”と思うような演出はしたくない。

はい!期待しかない。
今年の秋が楽しみです。
雨音

雨音