風神

インビクタス/負けざる者たちの風神のレビュー・感想・評価

4.4
NHK BSプレミアム放送分を
録画して鑑賞。

ラグビーに関してはにわかです。

前回のワールドカップが日本開催で
無かったら、ルールすら知らないまま
だったかもしれない。
泣き虫先生のドラマぐらいしか
ラグビーに絡む事が無かったし
元は野球好きで今はサッカー好き。
スポーツ全般好きだけど
アメフトとラグビーの違いすら
よく分からなかったような人間が
前回のワールドカップの中継を
日本戦以外の試合も見た。
熱い闘いに非常に興奮した。

個人的にスポーツは個人や国民の
ものであり、国家のものではないと
思っている。
政治がスポーツを利用したり
政治的対立での大会不参加などは
大嫌いな考え方。

ただ、この作品の南アフリカ共和国。
9つの公用語のある国。
すなわち、多民族国家であり
マンデラさんが大統領になるまで
人種差別が普通にあった国家。
白人用の椅子には
けっして黒人は座れない。
白、黒、はっきりと分断していた国。
そこで育った白人が
黒人を認めていけるのか。
普通に家庭に黒人の使用人がいるのに
黒人の権利を謳う国家の不安定さ。
そんなタイミングで、白人にのみ
愛されたラグビーのナショナルチームを
南アフリカの代表として認め
黒人達に受け入れさせるには
またとない機会として
自国開催のワールドカップが開かれる。
これに勝ち進めば、国が纏まる
良い機会だが、
そんなに簡単な話ではない。
そこで、奇蹟のような事を
やってのけたスプリングボックス。
そのきっかけを作った
ネルソン・マンデラ大統領と
キャプテンの
フランソワ・ピナール。
あまりにもドラマチックな展開に
映画的な思惑も感じるが、これが事実。

まずは君達からと言われた
大統領警護官の人達。
仲間を殺した相手を認めて
受け入れるよう言われて
戸惑いながらも、寄り添う姿勢を見せる。
でも、車は白黒別々。
アフリカ最大の犯罪都市と言われた
ヨハネスブルクも南アフリカ。
黒人達が暮らす地域の貧しさ。
問題が山積するなかでの
一つの希望の形として
皆でスプリングボックスを応援する。
大統領自ら率先して。

未だにいろいろ問題はあるだろうけど
あの瞬間は確かに一つになった。
会場の外でラジオで聴いてた警察官と
黒人の子供。
警護官の二人のやりとり。
国歌として認められないと言われた歌を
皆んなで歌う姿。
スタンドの人、
通りに繰り出した人、
テレビの前の人、
4,600万人がひとつになった。

日本開催のワールドカップ。
あれもあれで凄かったが
南アフリカ共和国開催の
ワールドカップ。
それがもたらした効果は
計り知れないものがある。

ネルソン・マンデラ本人に
映画作るなら、誰に演じて欲しいかと
聞いたら、モーガン・フリーマンの
名前が上がった。それを聞いた
モーガン・フリーマンが
クリント・イーストウッドに依頼した。
脚本を見て、それを受けたらしい。
凄い流れで作られた作品だなぁ。

2022-240
風神

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