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恋人たちの予感のchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

恋人たちの予感(1989年製作の映画)
5.0
言わずと知れたラブコメの鉄板。もはや前回が記憶にないほど久々の鑑賞だったのですが、これは伝説ですね。あのー、あなたみたいにお年寄りじゃないので知らないっす...?そんな若者もエンタメ好きを自称するなら一度は観ましょう。ラブコメにとどまらずあらゆるジャンルの映画やドラマでよくあるシチュエーション、よくある演出、よくあるセリフの数々。"これってこの映画から来てたんだぁ"と数分毎に感心すること請け合いです!

NYを舞台に性格が正反対の二人、バックで流れるのはガーシュウィン。観客はすぐに互いが恋してるとわかるのになかなかくっつかない。やっとくっついたと思ったら喧嘩して... いわゆる王道というか、むしろこの映画がその王道を確立したといっていいかもしれません。加えて印象的かつアイコニックなシーンで溢れていますね。一番有名なユダヤレストランでの××再現シーンだけでなく、ノリノリの店内カラオケは観ているだけで楽しいし、メトロポリタン美術館でのおふざけからのデートの誘いのまぁキュートなこと!個人的な一押しは電話で"Call Me"と歌う場面です。

いつか自分もこんなシチュエーションに、と思わせてくれるのも本作の大きな特徴。二人とも手の届かない美男美女として映し出されてはないし、よくしゃべる割には意外なほど人物像がはっきりとは描かれていません。だからこそ誰もが自分を投影できるというわけ。

今年の新作ラブコメはとにかく古典回帰が目立ちますが、いやだから古典的なラブコメって具体的には何よ?と聞かれたら、ノーラ・エフロン脚本、メグ・ライアン主演3本の本作、「めぐり逢えたら (1993)」、そして「ユー・ガット・メール (1998)」と答えておけば間違いありません。さらにやたらと質問好きな輩に、じゃあ古典的じゃないラブコメって?と聞かれたら、2000年以降に型にはまったラブコメからの脱却を図った作品として引き合いに出されることの多い「(500)日のサマー (2009)」、「パーム・スプリングス (2020)」とお答えするとよいでしょう。

不朽の名作なので既に飽きるほど観たという方は、ちょっとマニアックにハリーのファッションに注目して再鑑賞はいかがでしょうか?ベッドでお菓子ポリポリいじける場面での横縞模様のTシャツがあの夜にセーターの下に着ていたものという細かい演出もいいけれど、とにかくファッションセンスが謎過ぎる!半袖を重ねた長袖をロールアップ、ポロシャツにはツイードのジャケットを羽織り、寝間着はタートルネック。朝から晩までツッコミどころ満載で大変なことになってます... いや、きれい目スタイルに野球帽とかごく稀にオシャレな場面もあるんよ。よい例・悪い例を見極めるうってつけの教科書かも。ぜひご参考に?
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