福福吉吉

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディの福福吉吉のレビュー・感想・評価

3.5
◆あらすじ◆
1970年のクリスマスの時節、寄宿学校のバートン校では多くが家族のもとへ帰るのだが、生徒のアンガス・タリーは母が再婚した夫と旅行に出かけたため、学校に残ることになってしまう。そして、その期間、生真面目で偏屈な教師のハナムが面倒を見ることとなり、アンガスは堅苦しい生活を余儀なくされるが...。

◆感想◆
クリスマスシーズンに学校に残された人々の関係の変化を描いた作品となっており、教師と生徒が反発し合いながらも少しずつ関係に変化が生まれていく様子が楽しいものになっていました。

歴史の教師のハナム(ポール・ジアマッティ)は生真面目で融通が利かないため、生徒はおろか教師たちにも嫌われている独特な人物であり、学校に多額の寄付をする親を持つ生徒も容赦なく落第させたため、校長に睨まれていました。ハナムは教師として正しいけれども他者の気持ちを察する能力に乏しいように感じました。

アンガス・タリー(ドミニク・セッサ)は成績優秀だが反抗的で生徒たちの中でも浮いた存在であり、本人も他の生徒とは違うという意識を持っていました。アンガスは母親と旅行するはずが母親が再婚相手との旅行を優先したことで学校に残されてしまい、アンガスのガッカリした表情は憎々しいキャラクターながらとても可哀そうに思いました。

そして、学校の調理師のメアリー(ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ)は息子をベトナム戦争で失い、そのショックから学校に居残ることにします。息子のことで心を痛めながらも彼女の器量の大きさがハナムやアンガスを上手くまとめていて、母親としての偉大さを感じるキャラクターになっていて魅力的でした。

ストーリーはクリスマスシーズンに学校に居残るハナム、アンガス、メアリーの3人の中で繰り広げられるドタバタ劇として進みます。学校だけでなく3人が外出して休暇を楽しく過ごすシーンも多々あって、絵面的にもストーリーとしても変化があって面白かったです。ハナムとアンガスはお互いの深い部分を知っていくとともに関係が少しずつ変わっていく様子は心を温かくしてくれるものがあって良かったと思います。

ラストは少し寂しいけど、3人の明るい将来が待っている感じがして良かったと思います。

派手さは無いですが心に温かさを感じるものがあってなかなか面白かったです。

鑑賞日:2025年5月11日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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