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日本敗れずのmhのレビュー・感想・評価

日本敗れず(1954年製作の映画)
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宮城事件を扱った「黎明八月十五日(1952)」と「八月十五日の動乱(1962)」を続けて見たので、ついでにこれも再生。
前述二作品は前半を別の要素に当ててたんだけど、この映画では(から?)宮城事件をがっつりメインに据えている。
OPとEDは公開同時の現代で、十年前、日本のために本気で戦ってきたひとたちがいたみたいな体裁。
戦争賛美のスタイルかと思いきや、宮城事件をリアルに再現した結果、反知性主義の最たるものとして戦争への絶妙なエクスキューズになってて、見応えがすごかった。
懐かくて楽しかった戦争だけど、実際はこんな怖いもんなんだぜ?
その結果、いまの平和がありがたいという美しい流れが完成している。
宮城事件は「軍国主義の断末魔」って位置づけでいいんだと思う。
クーデターを玉音盤探しに置換・矮小化したのは見事というほかない。軍事政権に対する強烈なアイロニーになっていた。
序盤にあった東京大空襲は5/25のほうだった。同じところに何度も空襲があったかのように誘導してあるのが気になった。
宮城事件を題材にした映画の残りは、「日本のいちばん長い日(2015)」だけになった。
面白かった。
mh

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