「それが何になる?」
死を宣告された写真家のラモンは、日々の出来事ひとつひとつにそう問う。
そうして余分なものを削ぎ落とすことで、彼自身が剥き出しになっていく。
言わないことが決して狡いとは思わない。
死と向かい合うことは、生と向き合うことと同じ。
自分で選択できない生より、死は自由であってもいい。
彼が撮り続けた写真は、言葉より明確に彼の想いを伝えるはず。
どうか彼の大切な人たちに届きますように。
そうして最後までカメラを抱えていた彼は、
波の音に心を解放し、海に溶けていく。
なんて美しいラストシーン。
よい意味でオゾン監督過ぎない作品でした。