風と共にサリーヌ

ぼくを葬る(おくる)の風と共にサリーヌのレビュー・感想・評価

ぼくを葬る(おくる)(2005年製作の映画)
3.0
主人公の祖母の「夫が亡くなったとき、私は絶望して死にそうになった。だから家を出たの。子どもを捨てて…あなたの父親をね。どうしても耐えられなかった。あの子の笑顔や眼差しに夫の面影が重なって。ひどい母親と言われたわ。ふしだらな女とも。息子は私を許さない。でも私にも理由がある。家を出ず愛人たちがいなければ、私も死んでいたわ。身勝手だっていい。それが生存本能よ」という台詞になるほどなと思った。
この祖母の行為を肯定してるわけじゃないし、息子の立場からしてみればそら許さんやろうし許さなくていいことやと思う。
ただ、物事には正しい正しくないとか以前に、色んな理由があるなと再認識させられた。

余命宣告を受けてから、主人公の内面や行動が良い変化を遂げていく様が逆に辛かった。
カメラの使い方が上手やった。
映画が終わった後、彼が撮った写真を姉が見たときの気持ちを想像して涙が出てきた。
鑑賞中は淡々としてたから泣かんかったのに、じわじわくる。
映画を観て泣くことは多々あるけど、観た後に思い出したりその後を想像して泣くのは初めての経験やった。
余命宣告系の映画って御涙頂戴感が好きじゃないけど、これはそんな感じではなくて良かった。

枯れていく花、ラストシーン。