このレビューはネタバレを含みます
日常系なトーンかと思いきや強い掴みだったのが印象的。謎の男や謎の名前、情報開示の配置など前半はエンタメ性が高かった。
「不在」を使うことで様々な象徴を表現しているように感じた。例えば車。父親が車のキーを渡さなかった事からの、妻が車に乗ってどこかに出かけた点から車は自由の象徴に感じた。
主人公が役者というのが「不在」に関係するもので良かった。父親の本を読んでいたが途中でなにも見ずに読み上げる。自分自身が「不在」となり父親を演じる、理解したシーンだと解釈した。延命治療の返事が変わった事から、あのシーンで初めて父親を許せたように思えた。だからラストの終わりは延命治療で終わった方が好みだった。
女性たちが印象に残らない、面白みを感じなかった。息子の妻は特に物語に関係する訳でもなかったから独身の設定にして親子の話をもっと描いたほうが良かったように感じた。女性の好みが似ている親子の表現だったかもしれないけど。