2024.08.02
原作者総監修劇場版第4弾。
監督は第一弾から務めてきた長崎健司に代わり、『NARUTO』の劇場版第一作目の監督でもある岡村天斎。
情報解禁から公開までの間に原作の完結が発表され、公開日の3日後のジャンプにて10年におよぶ連載がついに終了。
途中でジャンプ購読を辞めた身ですが、先生の前々作の読切から知っていると寂しさもありますね。
現在放送中のテレビアニメ第7期も溜めていましたが今作鑑賞のために追っかけで一気見。
そしたらめちゃめちゃ先が気になるところで今作の公開が挟まるし、既に最終決戦に突入しているのでどんな気持ちで観ればいいのかというところもありつつ。
しかしその分劇場版先出しの情報とかは特に気にしなくて済むので結果オーライですかね。
不定期でもオリジナルの劇場版を公開してきたコンテンツが完結するとなると、今作が最後の劇場版なのかが早くも気になります。
原作の内容は鬼滅方式ではなくテレビアニメで最後までやってくれると信じて、NARUTO方式で完結後の話とかを劇場版最終作として制作して欲しいですね。
死柄木弔率いる超常解放戦線との全面対決、そして日本各地の刑務所から脱獄したヴィラン“ダツゴク”の台頭、それらに伴うヒーローに対する信頼の失墜から、荒廃した日本。
開放されたオール・フォー・ワン(AFO)との戦いから大切な人を遠ざけるために一人戦っていた緑谷出久が雄英に戻り、迫る次の決戦に向け、A組の生徒たちは出久、爆豪、轟を筆頭に3班に分かれ、AFOの捜索と共に避難しきれていない人々を守るために街でヒーロー活動をしていた。
そんな時、とあるダツゴクが女性を抱えて暴れ始め、出久の班が捕獲に成功するが、バイクにまたがる謎の男の銃撃を受ける。
誰かが発動した個性によって女性への被弾は免れたものの、その直後、船の形をした謎の飛行物体が出久たちの前に現れた。
ダツゴクを一撃で倒す男の顔はかつての平和の象徴・オールマイトに酷似しており、自らを新たな象徴だと宣言する。
そして、その男が率いるヴィランと思われる者たちにより、女性は捕えられ、さらなる個性の発動によって巨大な要塞を形成し、A組の面々と女性を狙っていた男も要塞の中に取り込まれてしまった。
一方、雄英にいたオールマイトの元にはヴィランを率いる男から連絡が入り、改めて新たな象徴となることを宣言するが、オールマイトに否定され、ヒーローではなく悪だと言われたことで、男は「ダークマイト」を自称することになる。
そして、ダークマイトが率いるヴィランたちは、ヨーロッパ圏最大のヴィラン組織・ゴリーニファミリーの構成員であることが判明した。
班ごとバラバラの場所で目を覚ましたA組の生徒たちだったが、出口を探す中で出久だけが他のメンバーと逸れてしまい、その先で、ジュリオ・ガンディーニと名乗る女性を狙っていた男と邂逅する。
出久と共に要塞内のヴィランを撃退したジュリオの目的はやはり、ゴリーニファミリーに連れ去られた女性・アンナだった。
そしてダークマイトは、オールマイトの母校である雄英は過去の象徴であるために標的としており、AFOたちとの次の対決に備えて避難している多くの人々にも危機が迫るー。
そうか、ハガレンのアニメはボンズ制作だったか。
主題歌の「ホムンクルス」もそういう……。
なんて考えてしまうくらい、敵の個性や攻撃方法がめちゃくちゃハガレンでした。
あとは堀越先生総監修とはいえ、原作は完結を控え、テレビアニメの方は最終決戦の真っ最中ということで、時系列をパラレルにはできないだろうと思っていたら、本ッ当にギリギリ入り込めるタイミングで、そのことがOPアニメで分かるようになっていました。
個人的に今作、過去作のオマージュが満載というか、新作ではあるんだけど過去作にもあった要素を加えた劇場版シリーズの総決算のように感じました。
A組全員出動ではあるものの、それぞれの班に分かれて行動していたのは登場キャラが限定されていた一作目。
最終戦が一対一ではないというのは二作目っぽくもありましたが、今回はA組ビッグ3で共に立ち向かうという盛り具合。
途中で出久が単独行動をして、ゲストであり重要キャラの一人でもあるジュリオと短時間ながら要塞内を移動中に交流を深めていく場面には三作目のロディを思い出しました。
それぞれの特徴をスケールアップしながら構成していたので、過去作を懐かしみつつ、数々の戦いや勝利、敗北や絶望を噛み締めてきたA組の成長により感動しますね、こりゃ。
過去の劇場版に出てきたヴィランの個性の中でボス以外のものがあまり印象に残っていないからかもしれませんが、今作の幹部ヴィランたちの個性は直接攻撃系よりも搦め手系のものが多いように感じました。
そのおかげでA組の面々の個性の使い方や戦い方も一味違ったり、唯一の女性ヴィランであるデボラの慌てる顔が『おジャ魔女どれみ』っぽかったり。
そして何より、『NARUTO』の無限月読かよみたいな幻影の中で、峰田と上鳴はそりゃそうだろうよって感じでしたが、ダブルインゲニウムな飯田くん、そして、燈矢兄たちと遊ぶ轟くんなんて爆エモ場面が!!
本当に本当にありがとうございます。
出久は歴代継承者たちのおかげですぐに解放されましたが、中身はやっぱりオールマイトで、やっぱり一緒にヒーロー活動したかったんですね。
今作のメインヴィランであるダークマイトには、なにか哀しき背景があるという訳ではなく、象徴となれるだけの力に魅了された単なる小物で、“魔王”AFOが控えているタイミングにはピッタリのキャラクターでしたね。
オールマイトのSMASH!!がアメリカの州を冠しているのに対し、ダークマイトのSMASH!!はイタリアの都市名を冠していたのは細かくて好きです。
傷を治したあたりでAFOによる個性の譲渡を疑いましたが、その後の描写を観るに元々の個性の力が強化された結果のようで、ハガレンのような物質の形を変える錬成から、金の大きくするまさに錬金術、さらには人体を操作する人体錬成まで扱っていたとなるとだいぶ強大な個性でしたね。
爆豪、轟と共に追い詰め、出久が連続でSMASH!!を決めていく様には爽快感もあるし、自分が憧れた象徴の本当の姿をぶつけているようでカタルシスがありました。
最終暴走形態はどこぞのハルクを想起させるような姿でもう大興奮、もうちょっとおっきくなっても良かったかな。
そんなダークマイトに相対するは姿を変えないビッグ3。
二、三作目の奇跡フォームを使い回さないのは良かったのですが、そこは実は土壇場でアンナの個性に適応して「“逆”壊理ちゃんフォーム」に、明言されないまでもそうなんじゃないかと思える姿になってくれよとか、そうならないならせめてテレビアニメでは未発現の二代目の個性を出してくれよとは思いましたね。
描写的にはどちらともとれるかもしれませんが、個人的に最後の出久の決め技は、オールマイトが象徴となるために培われてきた歴代継承者たちの想いを通過することでぶつけたライダーキックって感じです。
エンドクレジットはテレビアニメでは描かれていない死柄木の目覚め。
もう始まってるんだし今更感が強く、最終作公開決定!!バァァンとか、最終章になってから言われるようになった気がする個性“因子”について、AFOが実はアンナからその個性を奪うか参考にするかしたのかもね的な繋ぎも観せて欲しかった感もあります。
しかしやはり色々と描写が難しい時期としてはちょうど良かったのかもしれません。