◆あらすじ◆
日本政府は惑星難民Xの受け入れを発表するが、人間の姿に擬態するXの存在に日本全体は騒然とする。週刊誌記者の笹健太郎(林遣都)はXの疑惑がある柏木良子(上野樹里)に接触し、スクープをものにしようとするが、次第に笹は良子へ好意を持ち始める。
◆感想◆
スクープをものにするために女性に近づいた主人公が女性へとの好意と記者としての欲望の狭間で揺れ動く姿を描いた作品となっており、「惑星難民」という突飛な設定ながら他者への偏見やその人の中身を大事にすべきという普遍的なテーマを描いていて、興味をそそる内容になっていました。
主人公の笹健太郎は週刊誌記者であるがスクープをものにできずクビを勧告されており、常に怯えているような感じを受けました。惑星難民Xの正体をスクープすることで記者として生き残ろうとするものの、感情を捨てきれない人間らしさがよく現れていたと思います。
一方、惑星難民Xの疑いがある人物として柏木良子が登場しますが、幾つかのバイトで生計を立てる普通の女性でした。他にも惑星難民Xの疑いがある人物が本作で挙げられますが、惑星難民としての異質な部分がほとんど現れず、内外問わず人間と変わらないので、Xを探そうとする行為はよそ者への偏見の顕在化に近いと思いました。
笹は良子に対して記者として正体を探ろうとする気持ちと人として愛そうとする気持ちの狭間で揺れ動きます。笹は心情が態度に出てしまう人物であり、良子への罪悪感が笹の不自然でオドオドした感じに出ていて、少し滑稽に思いました。
ストーリー後半になると、良子とその父の関係がピックアップされていき、2人の軋轢の原因がX捜しの騒動の中で明らかになっていきます。そこにはXかどうかなど関係なく、その人とどう過ごしてきたか、その人の中身の大切さを訴えるものになっていて、凡庸な内容になりそうなものをX捜しの要素を絡めることで特別な内容に変えていて面白かったです。
設定の突飛さに反してしっかりとしたドラマになっていて面白いと思いました。
鑑賞日:2024年10月12日
鑑賞方法:Amazon Prime Video