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牛乳屋フランキーのドントのレビュー・感想・評価

牛乳屋フランキー(1956年製作の映画)
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 1956年。面白かった。九州から東京へと出てきた男が、ライバル店のせいで窮地に追い込まれた親戚の牛乳配達屋を大ハッスル(死語)で手伝うほのぼの喜劇。
 顔芸、リアクション、肉体言語、演技、台詞回しなどなど、喜劇役者としてのフランキー堺の芸達者ぶりを基軸にアクの強い役者どもが典型的なキャラクターを演じる映画であった。ギャグは古いがドラマは喜劇の枠を出ないので安心して観ていられる反面、たまにムチャが追突してくるので実に楽しい。バスター・キートンっぽい自転車チェイスやフランキー堺が頑張る階段長回し、などなど。
 特に配達先の屋敷が某という名字だな、と思っていたら門前に「あのスタイル」のご当主が立っているところなど、ベタなネタながら2021年に観ると発酵が進んでいるかの如く異様な味わいがあり、ちょっと気が狂うかと思った。しかもこれが後半の布石となっているのだからすごい。
 ついでに日活映画のタイトルだらけの手紙、当時の流行「太陽族」を徹底的にバカにする(※監督は太陽族のシンボル的映画『狂った果実』を撮ってるのでセルフパロディ)時事ネタも突っ込んでいて実にイキがいい。そしてオーラスに掟破りにも程があるセルフ褒め。いやはや。勢いのある時期に作られた映画って、勢いがあっていいですね。フランキーとヒロインが惚れた腫れたのしないのがまたカラリとしててステキだった。
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