KANA

知りすぎていた男のKANAのレビュー・感想・評価

知りすぎていた男(1956年製作の映画)
3.7

ヒッチコックお得意の巻き込まれ型サスペンス。
観てると思い込んでたけど、どのシーンも1ミリも記憶がないからたぶん初鑑賞。

アメリカ人医師のベンは妻子を連れてモロッコを旅行中、バスでひょんなことからルイというフランス人男性と知り合う。
マラケシュにてルイは、ベンの目の前で何者かにナイフで刺され、謎めいた言葉を彼に言い残して死亡。
黒幕は某国首相の暗殺をたくらむ一団で、その秘密の計画がルイを通じてベンに漏れたと思い込んだ彼らは、その口封じにベンの息子を誘拐する。
ベン夫妻は必死になって息子を探す一方、次第に犯人たちの計画を知りそれを阻止しようと奔走するが…。

ストーリーはかなり面白い。
ルイが知り合っていきなり根掘り葉掘り質問してくるし、
元ミュージカル女優のベンの妻ジョーをみつけたことで知り合ったイギリス人の中年夫妻もなんだか含みがあって薄気味悪い…
そんな違和感にすぐ反応するジョーに対してベンの能天気さ。笑
ジェームズ・スチュワートって背が高くハンサムなのにどうも間が抜けてて全く色気を感じないんだけど、まぁその愛嬌がよき。

そんな前半のエキゾチックなモロッコでのヒッチらしい小気味よさに対して
後半ロンドンに舞台を移してからのテンポがやや鈍く感じてしまった。
緊迫感というのに欠けた。
アクセントでもあった好奇心旺盛で可愛い息子ハンクがいなくなったのもあるのかなぁ。
チャペルでのお世辞にも美しいとは言えない合唱とか冗長にしか感じられなかった。

でもクライマックスのロイヤル・アルバート・ホールでの10分近くに及ぶコンサートシーンは圧巻。
犯人たちの暗殺する正確なタイミングを事前に十分こちらに予習させてるもんだから、もうハラハラ!
ここはヒッチ、ひっぱるひっぱる!
シンバルの見せ方とかすごくスリリングだし。
観てて私もジョーと同じ反応しそうだった笑

からの本作のキーとなる「ケ・セラ・セラ〜♪」作戦。
ジョー役ドリス・デイによるすごく素敵な歌なんだけど、このシークエンスも息子ハンクとの伏線回収に到るまで引っ張りすぎだし、その間ベンの動きもゆっくりで、ん〜…

でもラストのラストでベンがカタルシスを与えてくれた!
それまではわざとモタついた演出でこちらのフラストレーションを溜めさせてなんだったらスゴイなぁ。
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