よどるふ

稀人(まれびと)のよどるふのレビュー・感想・評価

稀人(まれびと)(2004年製作の映画)
3.4
フィクションを「言葉によって作り出された虚構」とするならば、主人公の過剰なモノローグと、異常なのに異常性を感じさせない死者との対話の果てにある“あの場所”も「言葉によって作り出された」感じがする。世界の一部に“在る”ものを切り取ったものではない感じ。

この感覚は、「目にしたものに恐怖したのではなく、恐怖がそれを見せたのだ」的な劇中セリフとも合致するような気もするのだが、あまりピンと来ていない。脚本が小中千昭さんなので、元ネタが“アレ”というのは分かりつつも、自分が“アレ”について詳しくないので、理解不足の点が多い。

主人公が彼女(という言い方が正確なのかは分からないが)と出会った後の部屋のシーンで、彼女が部屋にいる様子を直接に見せるのではなく、「主人公が部屋のモニターで確認している“映像の中の彼女”を先に見せる」段階を踏んでいたところが印象的。劇伴には怖さよりも物悲しさを感じた。
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