シズヲ

コマンチェロのシズヲのレビュー・感想・評価

コマンチェロ(1961年製作の映画)
3.4
テキサス・レンジャーズの隊員とお尋ね者のギャンブラーがコマンチ族に武器を密売する組織を追う西部劇。本作がマイケル・カーティスの遺作となっており、ベテラン監督らしい安定感のある演出で手堅く纏まっている。シネマスコープの映像も古典的な画面作りに一定の奥行きを与えている。インディアンや武器密売組織との銃撃戦・乗馬戦も身体を張ったスタントによる物量のおかげで中々の迫力。馬車で駆け抜ける終盤の疾走感は結構好き。

密売組織への潜入捜査やギャンブラーと謎めいた美女の恋愛が話の中核を成すものの、基本的にはジョン・ウェインとスチュアート・ホイットマンのアンサンブルがメインとなっている。冒頭で欧州貴族式の決闘(よく西部劇の決闘と誤解される“背中合わせで歩き出して振り向き様に撃つ”決闘)が描かれたり、ギャンブラーの船上での恋愛劇が導入部となる等、ちょっと変わった要素が幾つか見られるのは印象的。

とはいえ全体的にはいつものデューク主演西部劇の域を出ないし、やってることも結局は“インディアンとの戦い”という60年代時点で既に酷使されてる題材なので取り立てて記憶に残る内容でもない。そういうわけで最終的にはいつも通りデュークが派手にドンパチして活躍するので、ある意味安心感はある。あと中盤でリー・マーヴィンがちょっとした役で出てくるのが嬉しい。体格も顔付きも迫力あるからデュークと並んでも全く見劣りしないんだよな。

かつてLevi'sのCMで水野晴郎が「ジョン・ウェインとパトリック・ウェインの親子は『コマンチェロ』の中でも共演してるんですね~」と語ったらしいけど、実際に本作では息子パトリック・ウェインがそれなりに目立つ役を貰っている。デュークが「息子をもっと殴ってやればよかった」等と言ってパトリックを軽くしばく下りがあるのはフフってなる。中盤における未亡人宅での防衛戦では親子並んでの共闘も見られるので興味深い。役者としてあんまりパッとしないのも伝わってくるけどね(その後のキャリアもだけど、親父と比べるとどうもニヤけ面で風格に欠ける印象が否めない)。
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