《もうやめるんだ》
〝アトム。お前はロボットの敵なのか?〟〝違う。敵じゃない〟〝我々ロボットは人間たちに支配されてきた。だがそれも終わりだ。今度は我々が人間を支配する〟〝力で支配するなんてダメだ〟
本作の元ネタは1963年モノクロ版179話・180話〝青騎士の巻(前編・後編)〟で、人間の仕打ちに腹を立てたアトムが、青騎士の誘いに乗り人間を裏切ってしまう衝撃の回で、これって〝ジャングル大帝〟のレオが人間と動物の間で葛藤し悩み苦しんでいるように、鉄腕アトムも人間とロボットの共存を目指しながらも、どちらかを選ばざるを得ない状況に追い込まれて…。
元ネタでは、ロボットに対する人間の態度があまりにも酷くて、オトンもオカンも将来人間に歯向かうタイプのロボットになる危険性があるとして収容所に入れられ、鞭で打たれているのを見ちゃうんだよね。人間の味方をしていたアトムも家族を平気で傷つける人間を見たら、そりゃあ腹を立てるでしょって話で…。
ただ、原作漫画で青騎士は〝これからは人間の奴隷として暮らすのをやめ、ロボットたちの国を作るために、アトムの力が必要だから仲間になってくれ〟って言っていて、本作のように、ロボットが人間を支配するって言うのは言い過ぎかも。
本作は、オトンとオカンが収容所に入れられたことや青騎士の家族が何故壊されてしまったのか、青騎士に賛同して多くのロボットが結集して人間に戦いを挑もうとする前半はカットされて、後半の山場だけをチョイスしているけど、それだけでも話の流れはつかめるし、ロボットと人間の間で揺れるアトムの心情も伝わってくる。
多くの仲間が破壊されたことに腹を立てた青騎士が、新しい世界を作るために戦おうとしているのに対し、アトムが〝君とは戦いたくない。戦いからは何も生まれない。気づいてくれ〟っていうシーンはグッとくるね。
アトムが人間を裏切り戦いを挑むシーンをカットしたのは大正解。アトムはいつも正義の味方でないとね。
視聴メモ:2024.08.04/104/本作&1963年モノクロ版:Rチャンネル(手塚プロダクションTV)