ユカリーヌ

不意打ちのユカリーヌのネタバレレビュー・内容・結末

不意打ち(1964年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

【過去に観た映画】2015.9.8

映画制作仲間で映画通のH氏が
「怖いから観て」と、DVDで観る。

怖いといってもホラーものと言うより、サスペンス的な心理的怖さ。


登場人物の誰にも感情移入できず、人間のエゴや醜さ全開で、
観終わると暗澹たる気持ちに支配されるというトラウマ映画。


1964年のモノクロ作品だけど、
画像も美しいので古さを感じさせない。
それが不変的な人の感情の怖さを刺激する。


原題の「LADY IN THE CAGE」「かごの鳥」という方がしっくり来るのに。
 

溺愛する息子と二人暮らしの金持ちのマダム。
腰を痛めて杖をついて歩いている。
息子が三日間のバカンスに出かける間、マダムは一人でお留守番。
  

三階建ての豪邸には鳥かごのようなホームエレベーターがついている。
そして、偶然が重なり、途中で止まったエレベーターにマダムは閉じ込められてしまう。
   

そこにアル中男と売春婦が押し入って来たり、悪い若者3人までもが乱入して来るという……お話。
    

エレベーターの中で、マダムは各々の悪行を見聞きし、恐怖に怯えるが必至で逃げようとする。
   

人は胎内回帰本能で何かに包まれると安心する反面、閉塞的な所に閉じ込められると圧迫されてしまう。
   

凛としたマダムが唯一、人間らしく救いであり、生きようとする姿に少し同調できる。
  

同じシチュエーションではなくとも、誰にでも起こりうることでもある。
人の感情をもたない人と関わることの怖さを十分に感じる。
   

少し前、トイレに奥さんがいて、酔っぱらった巨漢の夫がトイレの前で倒れて、トイレのドアをふさいで、奥さんがトイレから出られなくなり、中で熱中症で死亡したという事件が
あった。
閉塞的な場所って、何か起こるかもというのを孕んでいて、怖い。
     
ユカリーヌ

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