takaori

ドリーム・シナリオのtakaoriのレビュー・感想・評価

ドリーム・シナリオ(2023年製作の映画)
4.0
2024年243本目
劇場96本目

アリ・アスター製作らしく、人間の悪意をえげつなく描いた一作。「何も悪いことをしていないのに、ある日突然悪者にされていた」このテーマ自体はSF的設定を持ち出すまでもなく現実に繰り返されていることだ。日本では兵庫県知事選を巡って、殺人犯だというデマを流されて苦しんだスマイリーキクチが「ネットで真実」は怖い、ということをTwitter(現X)に書いていたが、SNS以前からこうしたことは世の中にあふれている。本作における「夢」はソーシャルメディアにおけるタイムラインに相当し、私たちが普段「誰の顔を悪者として認識しているか」にそのまま対応していると言えそうだ。
このテーマ自体は特に真新しくもないが、本作を面白くしているのはなんと言っても主演ニコラス・ケイジの存在感と演技力だ。どこにでもいそうな凡庸なおじさんを見事に演じ上げながら、ケイジ以外の誰にも出せない味わいを醸し出している。それこそ彼の顔が夢に出そうだ。
takaori

takaori