このレビューはネタバレを含みます
寝ても覚めてもニコラスケイジ
コントロール出来ないはずの夢に、ニコラスケイジが毎晩出て来たらっ!
字面だけなら笑ってしまうネタなのに、
鮮明な嫌らしさとやるせなさが、劇場をでてからずっとボディブローのように延々効いています。(;ω;)
地方大学で教授を務めるポールは、最近は業績もなく、他人から注目をされることもない、うだつの上がらない白人中年男性🧑🦲
大学時代のラボメンに、当時自分がやってた研究を勝手にブラッシュアップされ、さらにnatureに載るのを、どうにか共同研究者になれないか的な打診をしにいくも断られ、
それは俺のアイディアだと言っても、現在執筆中ですらない。
何もしてない男ポール。
自分でも無理筋なのが分かってくる。録音を聞き直してもこりゃあかんってなるよね。
頭の中にはあるのに!🐜🐜🐜
この“頭の中”にあることに、意味や価値を持たせる流れが、
みんなの言う「夢に出てくる男」が、ただの頭の中でみた夢でしかないのに、意味が出てくることに響いてくるのね。
妻に
「プライバシーもあるから、録音しなかったよ」的な発言。
有利な話にしてくるよ!あれは俺の研究なんだ!とかなんとか奥さんに大口叩いてたんでしょうー?
家族には情けないところを見せたくない、がっかりされたくないという、お父さんアルアル。
そのせいで理解されず、問題をややこしくするまでもセット。
そして「夢の男」デビュー。
皆の注目から外れてた自分が、まさかのバズり!?
望んでなかったけど、ちょっと舞い上がるのも、家族にはそんな態度見せないのも、学生たちにアンケート取っちゃったのも、わかるわぁと思うの。
夢に出てくるけど、「何もしない人」という、残念さ加減。
だって何もしてないもん、、、。
共感性羞恥の琴線びょんびょんされちゃう。
そんな中、声をかけてくる、わかりやすいベンチャー企業。
「夢の男」の広告利用ビジネスアイディアは面白い。スプライト!
けど、呼び出すならせめて経歴くらいはさらっと読もうよ、、と突っ込みたくなるくらいの杜撰ぶりと、
ポールの分野の有名人の名前を挙げさせて、知らないっすねー。とかね。
失礼千万だらけなのに、
怒らない・・・“怒れない”気弱だけどプライドは高い男の解像度高いよ、、。
と思ったら、夢の男就任以来の初めての役得クルー!?
🦓💕🦓
親子ほども離れてる、セクシー女子が、夢に見たの、、なんて!
さらに初めての「ナニかする人」。
ミドルエイジ・クライシスおじさん復権か!?
……まぁ絵面から無理だとは思ってたけどさぁー、、。
オナラ2発と、「え!?まだ触ってないのに!?」とか、、。
笑えるけど、苦しい。
生理的な無理さが上手いよ、、。
こんなのそりゃトラウマ製造男へクラスチェンジしますよ!
オナラ1発目を乗り越えた彼女の性欲に尊敬すら覚える。
そもそも、彼女がバーで
「南半球のオーストラリア人は逆回りの夢を見てるのかしら?」
っていう会話を速攻わからせ否定した感じと、ネタがなくなったのか仕事の話してるのとか、
お国が違っても、その辺の中年男性の残念なポイントは同じなのね。
そしてパクってないって言ったのに!な論文タイトル🐜💢🐜
夢の男トラウマ編。
性と暴力の過激セット。
集団心理の暴走は、昨今のキャンセルカルチャーのようではあるけど、
夢だしなぁー、そうはならんやろーとは思う。
とはいえ、イメージだけで忌避していることありませんか?と突かれてるように感じる。
性別、年齢、国籍、容姿、政治、宗教…。
そんな夢みたいな集団幻想で、決めつけていることの怖さと愚かさ、理解し合えない悲しみ。
イメージ通りの危害を加える男ならば、
大声で喧伝して、“正義”の制裁を執行するのも、初動をミスった謝罪に何も意味がないのも、理不尽さも抱えるキャンセル社会怖い。
シマウマは横縞に憧れたらダメなのね🦓
分裂する家族。
祭りのあとの虚しさ。
謎の怪しげ通販商品ノリオ。
次の炎上案件かと思いきや
(ポールのせいで騙されました的な)
ちゃんと使えるのかぁー。
夢に入るのに腕に装着とか、ガバガバSFガジェット好き。
妻の夢にだけポールが最後まで出なかったのは、
良くも悪くも、お互いもう別の夢も希望のイメージがない枯れた夫婦ってことなのでしょうか。
一応元カノ来た時に、ジェラシーしてそうな描写あるのは、きっと情愛なんかじゃなく、同じく枯れてゆく中年クライシス仲間なのに、抜け駆けを焦った感じなのかなぁ、、。
だからこそ、自分はまだ女としていけるじゃん!的に再確認したお泊まり彼氏の存在、
「パリに呼ばれてるんだ、4日後に1ヶ月行くんだ」
俺もまだ需要あるんだから、行く前に復縁を願う不器用な会話だし、
「いいわね!じゃあ帰国後に会いましょう」
私は私で楽しむから楽しんできてね!
という、手を伸ばせば触れてるのに、
心の深い溝が切ない。
そんな貴方にこの商品ですよ!ノリオ。
ちゃんとトーキンヘッズの肩幅ジャケット装着の、正にドリームシナリオ(ノД`)
「現実だったら良かったのに」
せめて夢で逢えたのに、空に浮かんでお別れ。
これは、最初の娘のプールの夢にループするのかしら、、?
何か落ちてテーブル割れて、茶色のモカシンっぽい靴が落ちてきて、なんか人?が落ちてきて、娘が浮かんで、、みたいな開幕だったように思うけど、、、。
肩幅に目が行き過ぎて、靴見てなかったなぁ。そもそも浮かぶ方が入ってきた人なのか。
感想読み漁ります( ˙꒳˙ )ゝ
ボーの時もおもったけど、
嘲笑しても許されそうなインセルとか弱者とか中年男性の解像度が高いのよ、、、。
何故か心が削られて苦しい(p_q*)
世の男性諸氏はもっと観てて苦しいのではないのでしょうか、、、。
そりゃ異世界転生もしたくなるよね。
分からせてくるニコラスケイジ恐るべし。
今作は理不尽シュチュエーションメインで作られているので、やり切れなさがMAXでした。
でも嫌いじゃないのよねぇ
深淵を覗きに行っちゃう(´ºωº`)