sonozy

アタラント号のsonozyのレビュー・感想・評価

アタラント号(1934年製作の映画)
4.0
たった4作品しか遺せず29歳でこの世を去った伝説の映画作家ジャン・ヴィゴの1934年の遺作。

セーヌ川を貨物を積んで往復する艀船アタラント号。
乗るのは船長のジャンとジュリエットの新婚カップル、老水夫ジュールと見習い。

「水の中で目を開けると、愛する人の顔が見えるのよ」と妻が可愛らしいことを話したり仲睦まじい二人。
だが、せっかくパリに着いたのにすぐ出航しようとする夫に嫌気して一人船を降りてしまい、怒った夫は妻を置いて船を出してしまう。

ミシェル・シモン演じるジュールが最高。
全身にイタズラ描き風の入れ墨で、猫を何匹も飼い、部屋は世界中で集めたらしい珍品で埋まってる。
船長とぶつかったりしつつ、夫婦を温かく見守るキャラ。

ファンタジック、ラブ、ユーモアに溢れ、詩的で官能的で幻想的。
フランソワ・トリュフォー、アキ・カウリスマキ、エミール・クストリッツァ、ミシェル・ゴンドリー、ユーリー・ノルシュテイン..世界の映画作家が敬愛するというジャン・ヴィゴの自由な感性に触れた気がします。
sonozy

sonozy