「愛こそ真実、真実こそ愛」
なんて、他人のラブソングを借りて想いを伝えようとしたところで、またいつものジョークでしょってあしらわれる。かと言って、面と向かって告白したって真剣に取り合ってくれなかったじゃない。
そうこうしてるうちに幼馴染の彼女は、ピンクの似合うかわいい女の子は僕の知らない男に夢中だ。
「きっと、あなたも気にいる人よ」
だって。その一言がどれだけ僕の心を傷付けるか。なんて彼女は知る由もない。だって彼女は恋に落ちているのだから。
でも残念なことに、その恋はホンモノなんだ。悲しいほどにホンモノ。瞳をキラキラさせて、ふとした瞬間に緩ませる頰。そんな幸せそうな笑顔、見たことないよ。誰よりも近くで見てきた幼馴染だからこそ、片想いを続けてきた僕にこそわかる、それは手放しちゃいけないロマンチック。
学園ヒエラルキーごとき下らない慣習に“愛の真実”が砕かれていいはずがない。友として、この僕が背中を押してやらなくてどうする。
愛さえあれば何だって乗り越えられるって、信じてるんだろ。