ろ

勝手にしやがれのろのレビュー・感想・評価

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)
5.0
「あなたに愛されたいの。
なのに同時にもう愛してほしくない」

先日「エンターテイメント論」という授業で途中飛ばしながら鑑賞。
いや~もう痺れました!!!
音楽、カット、セリフ...すべてが最高にかっこよくて!映画のDVDを買いたいと思ったの、初めてです(笑)

もう1度最初から最後までちゃんと観たいなぁと思い、学校で探したのですが見つからず...。ついにTSUTAYAデビューしちゃいました☆


自動車泥棒のミシェルは追ってきた警官を殺してしまう。
パリに着いた彼はアメリカ人のパトリシアと再会。「一緒にイタリアへ行こう」と誘ったり、「愛してる」と囁いたり。そうこうしている間に、警察の手が及んできて...。



ジーンセバーグ演じるパトリシアは等身大の20歳の女の子。
私は今20歳。共感できるポイントがいくつもありました。
「あなたの考えてることが知りたくて、でも10分見つめても何も分からない。何も...。だから怖いし考える。悲しくはないけれど怖いの。」
愛や死が怖くて、悩んで考える。
相手が何を言おうが自分の問題だからと殻に閉じこもりたくなる。ほっといてほしい。
そんな彼女の気持ちに思わず頷いてしまいます。

「人生最大の野心は?」
「不老不死になって死ぬこと」
人って矛盾だらけ。
例えば、勉強したくないけど学校には行かなきゃとか、お菓子食べたいけど太るしどうしよう、とか。

この映画にもそんな場面がありました。
新聞記者と会うパトリシアに嫉妬したミシェル。「行っちまえ。もう二度と会わん。失せろ、最低!」とわめきます。それなのに翌日彼女が恋しくなったミシェル。パトリシアの部屋で彼女を待ちます。

一方パトリシアはミシェルの愛が本物か、自分の気持ちが確かな物か、その根拠がほしい。彼女には見極める時間が必要なのです。
本当はミシェルに惹かれている。
けれど、こんな人を愛してはだめだ。
ブレーキとアクセルを交互に踏みながら少しずつ前進していきます。
人の中には相反する感情が共存している。人が葛藤する過程、そして悩んだ末に出した結論。
その様子が分かりやすく描かれている作品でした。

好きなカットはパトリシアがルノワールの絵が描かれたポスターを筒状にしてミシェルをのぞくところ。
それから、パトリシアが鏡の前に立ち両手で顔を覆うところ。指の間から目だけ見えて可愛いんですよ。

「意地悪になれるのは愛していない証拠なのね」

メモ(_'ω')φ…
原案はトリュフォー。
ゴダール28歳、ベルモンド26歳、セバーグ20歳の時の作品。
ヌーベルヴァーグ=フランス語で「新しい波」。
ろ