シュローダー

勝手にしやがれのシュローダーのレビュー・感想・評価

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)
4.8
「密告者は密告し、強盗は強盗し、恋人は恋をする」ヌーヴェルバーグの記念碑的作品であり、誰が観ても楽しめるタイプの傑作である。シーン毎の連なりを無視してカットをつなげるジャンプカット。市街地でゲリラ的に撮影された長回し。アドリブを取り入れた取り留めのない会話。これら全てが、ハリウッドでは御法度の手法であった。その全てを取り入れた結果、今の世でも古びない程に映画全体のテンションが「若々しい」のである。まるで江戸っ子の様に小気味よいテンポで紡がれる編集は、非常にスピーディだし、長回しはこちらの興味を引っ張って離さない。ただ聞いてるだけでも面白い会話シーンは、後にクエンティンタランティーノが更にポップに仕上げる事となる。そして、男と女の運命が決する、あの切れ味鋭く、程よい余韻を残すあのラスト。映画とはかくあるべきというお手本の様な映画。僕の映画製作にも影響を与えてくれた、とても忘れがたい傑作。