ヨウ

勝手にしやがれのヨウのレビュー・感想・評価

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)
3.9
警察に追われる身となったフランス人の男がパリの地でガールフレンドのアメリカ娘とともに逃避行を繰り広げる。シャンゼリゼ通りを歩く姿など全編に渡って洒落たムードが漂っており心地良い味わいを覚える。そうした中で描かれる愛のコンフリクトは非常に奥深く絶妙そのものであった。立場の違いからそれぞれの思惑が絡み合い、一介の愛憎劇では捉えきれない魅力を醸し出している。そして畳み掛ける怒涛の後半部は映画の真髄なるものが光っている気がした。結末に向かってゆく展開は本当に面白かった。ラストシーンの衝撃は半端じゃなかった。主人公ミシェルはなかなかクソ野郎じみた部分もあったが、あの風格にはどこまでも惹かれてしまった。男なら誰しもが憧れるカッコ良さを兼ね備えていた。パトリシアの考え方は独特すぎて共感できないところもあるがそれが彼女の真価なのだろう。終盤の行動動機については考察の甲斐があるかもしれない。革新的なカメラワークやカットを用いて従来の映画文法から逸脱したつくりはまさに革命。映画界に新たなる時代をもたらしたヌーヴェルヴァーグの記念碑的傑作である。ジャンリュックゴダールという人物の影響力は計り知れない。映画史に大きく名を刻むゴダール作品をこれからも観ていきたい。
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