てつこてつ

あいつの声のてつこてつのレビュー・感想・評価

あいつの声(2007年製作の映画)
3.0
韓国三大未解決事件の一つとして数え上げられる1991年に発生した「イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件」の映画化。この事件は、当時、余程、韓国社会を震撼させたのか、他にも「悪魔は誰だ」「殺人の疑惑」も同事件を基にした作品。

冒頭に「実際に起きた事件に着想を得たもの」との断りがキチンと出てはいるが、実際の被害者である会社経営者の父親を人気ニュースキャスターという設定にガラリと変えてしまうのは、どう考えても、あのインパクトのある終盤のニュースの生放送シーンを演出する為の狙いだけに見えてしまい、あまりいただけない。

こういう衝撃的な事件をテーマにするのなら、もっとサスペンスフルな流れにいかようにも出来た筈だと思うが、ダラダラと盛り上がりに欠けるテンポが悪いストーリーが2時間超に及んで淡々と綴られ、警察がいかに無能であったかという事実を見せるのもいいが、いくら何でも、刑事たちの捜査シーンに緊張感が無さ過ぎるばかりか、終盤に向けて被害者の父親との絆を深めていくチーフクラスの刑事の登場シーンには余計なユーモア描写まで入っていて邪魔で仕方ない。

父親役を演じたソル・ギョングは相変わらず上手く、ラストシーンの熱演も見事な物だが、このシーンが全くのフィクションだというのが分かってしまうので、やや興醒め。

犯人の声をカン・ドンウォンが演じていたのには驚き。

最後の最後に事件当時の犯人の録音されたテープの音声が流れる演出だけは良い。
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