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わたくしどもは。のdarumaのレビュー・感想・評価

わたくしどもは。(2023年製作の映画)
3.9
東京国際映画祭をチェックしていて知った作品。最寄りでも上映があったのですが、上映館数を見て驚…めっちゃ少ない!(のに何故上映ある!?)しかもフィルマの評価が低い!これは観に行かないと!と思い(私ひねくれ者だから笑)、行ってきました。

結論、確かに…低くなるのはわかる。
めちゃくちゃ難解だと思う…前半が。(そして眠くなる…台詞が極限まで減らされていると思われ、眠さが倍増する。個人的にちょっと寝不足で行ってしまったので失敗した。ちなみに監督も眠くなるのは承知しているようだった…笑)

でも、最後まで観ると、非常にシンプル。

ネタバレになってしまうので、実際に確かめてみてください。
(途中から、もっと頭のほうをしっかり観ておけばよかった…と思った。いや、ぼーっと観ていてもわかるんですが、色々細かな所を見ておけば!みたいな)

映像がとても綺麗です。風景も素敵。
たまに「小松菜奈ちゃんと松田龍平さんのPVなのか!?」と思うようなシーンも(服装もめっちゃお洒落!)。ちょっと寄り方(ズームの仕方)がたまに古臭い感じはありますが(2段階スイッチみたいな?)、でも濱口監督作品でも以前同じようなことを思った事があるので、意図的かも…?
画角がスクエアっぽい感じなのも印象的です。

そして劇伴がいいなぁ…と思ってエンドロールを見ていたら、まさかの!RADWIMPSの野田洋次郎さんだった(驚。えっらい有名どころ使ってる!)
と言っても全体を通してそれほど音楽はかからず、ここぞという所で劇伴が流れます。

役者さんがめっっちゃ豪華で!
W主演のお2人のほかに、大竹しのぶさん(かなりたくさん出てきます!)、田中泯さん。これだけでも相当豪華だと思いますが、ほかに石橋静河さん、内田也哉子さんなど。途中で能の舞みたいなのが出てくるのですが、これも本職の有名な方が演じられているようです。
また、中学生?高校生?の男の子が少し踊りを踊るのですが、この方も歌舞伎役者さんだったんですね…!踊れる人を集めたと公式サイトに書かれており、そうなのか!と納得。

非常にアーティスティックな作品です。(だからこれだけの役者さんを集められたのだろうなという気が…あと、後述する理由もありますが)
故に、かなり好みが分かれるかなと思います。
私は嫌いではない(終わってみればむしろ好き)ですが、とにかく、体調万全で、眠らないで鑑賞できるときに観に行くことをおすすめします。

ちなみに、監督とプロデューサーの舞台挨拶付を鑑賞(いつ観ようかと最寄りのスケジュールを検索したら、舞台挨拶付の日があったので迷わず決定。公開からしばらく経っているので後回しにしてよかった…)。北海道の中でも何故こんなローカルにわざわざいらっしゃる…!?と思ったら、監督の御出身地だそうです。いわゆる凱旋上映ですね(だから館数少ないのに上映されているのかと納得)。普段ならガラガラになりそうな作品ですが、かなりたくさん観客が入っていました。

監督とプロデューサーさんは御夫婦で、監督がメインにお話しされていましたが、随所でプロデューサーさんが静かにフォローする…(皆、耳を澄ませて聴く。監督よりお声が静かなので)みたいな流れがとても微笑ましかったです。舞台挨拶後はさながら同窓会のような感じになっていました。

ちなみにたくさんお話をしてくださって、本作とは直接関係ない部分も含めていくつかご紹介。
監督が小松菜奈ちゃんと出身地の話になり、菜奈ちゃんが「良い所ですね」と言って下さったそうで、何故こんなローカルな場所を菜奈ちゃんが知っているのかと思ったら、新婚旅行でキャンピングカーで北海道一周していた時に訪れたそう(えー凄い!!^^)リップサービスかなとは思いましたが、地元民としてはかなり嬉しかったです。

本作は佐渡島が舞台で、監督は1つ前の作品(ブルー・ウインド・ブローズ)も佐渡島で撮られたそう。元々は石川の能登へロケハンに行く予定だったそうですが、プロデューサーさんが何となく閃いて佐渡島に寄ってみたところ、決まったそうです。その作品をベルリン国際映画祭に出した後、勢いづいてヴェネチア映画祭の助成に本作の企画を出したら通ったので撮れることになった。なのでエンタメ商業作じゃなくてかなりインディーズ寄りになっていると仰っていました。小松菜奈ちゃんのキラキラ映画を観に来たつもりだったらごめんねとも(笑)でも、だからこんなに豪華なキャスティングだったのか…!と思った。主演の二人しか知らずに観たので、次から次へと出てくる有名どころにめちゃくちゃびっくりしました。

ブルー・ウインド・ブローズの撮影時には佐渡金山には行かなかったそうですが、撮影後に訪れて、その際に、佐渡金山に全国から働きに来ていた人の無数のお墓を見て、本作のインスピレーションが湧いたそうです。(ちなみに本作を観た後に数々のお話を聴いて、このエピソードが一番「なるほど…」と思った。後で公式サイトを見たらそちらにも書かれていたので、鑑賞後に読むとより理解が深まるかと思います。何故本作が国際映画祭で助成対象になったのかも何となくわかる気がしました。日本的というか)

小松菜奈ちゃんは完全にオファーだったようですが、後でプロデューサーさんの過去作を見たら松田龍平さん絡みがいくつかあったので、龍平さんはそこからなのかな?と思いました。

撮影時のエピソードとして、撮影しながら台本をかなり書き換えて行ったそうで、小松菜奈ちゃんは大変だったと思うけどそこはプロ、文句ひとつ言わずにやっていたというような事を言っていました。逆に松田龍平さんは台本が書き換わることを称賛していたそうです。これもなんかわかるな…と思った。

プロデューサーさんが、本作は監督の長編2作目で東京国際映画祭のコンペティションに選ばれたので、運が強いかも…みたいな事を言ってました。さらにこの監督さんは、短編で岸井ゆきのちゃん主演の作品を撮られているのですが(これは事前に確認して知っていました)、確かに持ってるなぁ…!と思った(ちょうど日アカ受賞後だったので)。「終点、お化け煙突まえ。」という作品で、撮られたのはもう10年近く前だそうです。ゆきのちゃんはまだ10代だったそうですが、主演を決める際に惹かれるものがあったということでした。ちなみにこれも釜山の映画祭に出されているそうで、かなりインターナショナルに強い監督なんだな…!と思って感心しました。本作の公開に合わせて記念上映されたそうで、自分はその情報をツイッターで見かけて知ったのだったかな?観たいと思っていたのですが、YouTubeに予告編がありました。凄く良さそうだった。また機会があったら観てみたいです。
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