★ 武器をかついだ兵隊さん
南にゆこうとしてるけど
サーベルの音はチャラチャラと
街の空気を汚してる
(たま『さよなら人類』より)
「続編は失敗する」
そんなジンクスを耳にしたことがありますが、それも当然の話だと思います。続編が作られる…ということは、第一作目は評価されているわけで、少なくともその作品と同レベルに至らなければダメなのです。
そして、本作の場合。
『猿の惑星』は映画史に名を残すほどの傑作。そりゃあ、ハードルが高くなるのは自明の理。期待を抱きながらも「凡作でも仕方がない」という心持ちで鑑賞しましたが…おほ。思っていたよりも面白いじゃないですか。
前作同様にSFと言うよりもホラー風味の前半。
不穏な空気を醸しながら物語は展開していきます。前作の主人公を探す…という流れも良いですね。ホラーとミステリは相性が良いですからね。「彼は何処に行ったのだろう?」という謎がグイグイと惹き込んでくれるのです。
また、後半の展開も。
現代の視点で捉えると荒唐無稽な部分は多いですが、アイディア先行の“飛躍感”は個人的に大好き。“ぶっ飛んだ”展開に期待が高まる一方なのです。
だから、正直なところ。
本作が不評であることが不思議なのです。
確かに前作は超えていないのは明らかです。でも、前作の根底に流れていた“人類への警告”を発展させたら“この”方向に進むのは想定できる話だと思います。
まあ、そんなわけで。
薄気味悪い音楽と肌にまとわりつく恐怖。
荒唐無稽な展開を一方的に許す“飛躍感”。
人を選ぶ作品かもしれませんが、70年代の空気を感じる佳作ではないでしょうか。
さらに現代の視点で言えば。
本作(というか本シリーズ)が存在したからこそ、仮初でも平和を享受できた…なんて言い過ぎですかね。でも、当時のムーヴメントを考えれば再評価されて良いかと…ダメですかねえ。
ちなみに本作から連想したのは“水木しげる先生のマンガ”。ゾクゾクッとさせる感覚と昭和レトロな雰囲気、そしてアイディアの“飛躍感”がとても似ていると思いました。
To be continued… →→→ 『新・猿の惑星』