丐幇(かいほう)の幇主・喬峯は人々から慕われる英雄的存在だったが、副幇・馬大元殺しの濡れ衣を着せられてしまう。喬峯は自分を陥れた犯人を捜しつつ、自身の出自を知るために旅に出るが行く手には様々な刺客が現れて…。中国産の武俠アクション映画。
「新ドラゴン危機一発」「ドラゴン危機一発 "97」と監督としては迷作を生み出しているから本作は監督ドニー・イェンと聞いて二の足を踏んでいた作品。
ドニー・イェンさん監督主演製作でアクション監督は日本の谷垣健治さんでドニーさんとはゴールデンコンビで話題作だった筈なのにフィルマでもレビュー書いてる人が少なくて意外…。
原作は金庸の武俠小説「天龍八部」で冒頭に改編作とある。それもそのはずで原作はとても長い最長編なので、改編しないととてもじゃないが映画1作では収まらない長さ。
原作は4人の若者が主人公ですが映画では1人に焦点を当てており、他の主人公である段誉、虚竹、慕容復の3人の扱いはさわり程度とこの辺からもかなりの改編であると分かります。
話の取っ掛かりである殺しの濡れ衣も殺しのシーンはなくただ「お前が殺した!証人もいる」だけじゃ話が見えないにも程がある…。
策略が浅すぎるのにそれすら疑問に思わない主人公に疑問しかありません…。
その他も多くを端折り過ぎて話がよく分からない…。その割には変な出会い方のヒロインとの絡みを手厚く尺を取ったりして何を見せたいのか行方不明…。
結局、旅に出てヒロイン連れて帰って来て振り出しに戻って結局はかつての同門と大バトル…。犯人探しやルーツ探しがまるで進まない…。
それなら登場人物の台詞通りで最初に決着つけとけば良かったんじゃないのと思ってしまいますね。
やっぱりドニー・イェン監督は良くも悪くも「新ドラゴン危機一髪」の頃と何も変わってなかった(笑)
とにかく自分をカッコ良く映す事に主眼が置かれていて、俺様は強い!スゲえだろ!に溢れている。ドニーさんのファンならそれで満足でしょうが、原作の実写化でやる事かなと疑問。
アクションはドニーさんと谷垣さんなのでワイヤーアクションを更に進化させたアクションと更にVFXの融合でスピーディーでダイナミックなハイブリッドカンフーアクションで魅せる。更にそこにドニーさんのキレキレの動きが加わり凄まじい物になってます。
ただ、武俠アクションなので誇張されており、リアルなカンフーアクションではありませんので注意。
武俠物としても主人公が斬られても刺されても致命傷を負っても大丈夫ってのはちょっとやり過ぎでやっぱりドニー・イェン監督作だと実感。
中盤から後半は駆け足と詰め込み過ぎて話が頭に入って来ませんでした…。人間の愚かさか複雑な人間関係か終幕しても結局何を描きたかったのか分からず中途半端…。やっぱり1作で描ききれるほど甘い原作では無かった…。
結局はドニー無双と凄まじいアクションを見るためだけの映画でしかなかったけれど、それでもアクション好きとしては楽しめた作品でした。
まとめの一言
「一騎当千」