このレビューはネタバレを含みます
殺人の証拠を得た子供が犯人を脅迫する話。
ポスターを見る限り、ヒーロー映画なのかな~と思っていたのですが、まさかの犯罪映画でビックリ。
しかも、子供が大人を脅迫するという展開も意外性があって楽しめました。
沖縄が舞台という事もあって、中学生男女3人の描写は非常に瑞々しく、キラキラとした青春映画の趣がある一方、人がバタバタと死んでいく、血みどろな恐ろしい世界も同居していて、このコントラスト…マリアージュが本作の魅力と言えるでしょう。
主人公・朝陽を演じる羽村仁成の(頭が良い故に)子供である事を演じてる様な気味の悪さは印象に残ったし、夏月役の星乃あんなのジュブナイル・ヒロイン感や浩役の前出燿志のジェネリック・木村拓哉感も印象的。
大人のキャストに関しても、陳腐になりかねないサイコパスなキャラクターを岡田将生をギリギリの説得力を持って演じていて、脇役にも有名所を揃えたり、DV親父役にグレート-O-カーンを起用したりと、キャスティングを見てるだけでも面白かったです。
最終的には、朝陽が全ての黒幕だった事が明かされるわけですが、彼の完璧な犯罪計画の中で唯一の誤算…足をすくわれる事になるのが、夏月の手紙というのが個人的にはグッと来るものがありました。
あれだけ頭が切れる少年でも、少女の真っ直ぐで純粋な愛だけは計算出来なかったという事。
そもそも告白に失敗しただけで相手を殺す少年と、少年の素性を知っても尚、愛を貫こうとする少女との対比。
おそらく刑事に逮捕されるであろう、ラストは一見するとバッドエンドに見えますが、あそこで少年が逮捕され、罪を償い、更生する機会を得れたのだと思えば、ハッピーエンドとも受け取れるはず。
そういう意味では、少女の愛が少年の邪悪さに打ち勝つ寓話としても見れますし、ある種の純愛映画としても見れるんじゃないかな。
ヒーロー映画なのかな~と思ったら、犯罪映画で。
犯罪映画だと思ったら、純愛映画で。
まさか、こんなところに着地するとは思わなかったし、こんな余韻で終えるとも思いも寄らず、この意外性のあるストーリー展開は一見の価値があると言えるでしょう。