福福吉吉

ゴールド・ボーイの福福吉吉のレビュー・感想・評価

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)
4.0
◆あらすじ◆
大企業の社長の婿養子・東昇(岡田将生)が社長夫妻を崖から突き落とす様子を偶然撮影してしまった安室朝陽(羽村仁成)ら少年たちは複雑な家庭環境から抜け出すためにその映像で昇を脅迫して大金を得ようとする。

◆感想◆
ストーリーのテンポは良く、大企業の社長の婿養子・東昇と中学生の安室朝陽ら少年たちが接触することから始まる危険な駆け引きが緊張感をもたらす一方で、朝陽と上間夏月(星乃あんな)の交流がなんとも初々しく清潔感のある恋模様として緊張感を緩和していて、バランスのとれたストーリーとなっていました。そして、ストーリー終盤には意外性のある展開が待ち受けていて、見事に作品にのめりこんでしまいました。

東昇は表向きは悲劇の主人公を演じながら、その裏では冷酷で手段を選ばない顔を持っていて、彼の裏の顔を知った妻の静(松井玲奈)と険悪な関係になっていました。昇は義理の両親で大企業の社長夫妻を崖から突き落としたことを少年たちに撮影されてしまったことで脅迫を受けるハメになるのですが、それでも昇は不敵な笑いを浮かべ、油断ならない印象が抜けなかったので、最後までどうなるか分からないストーリーへの興味をかき立てる存在として良かったと思います。

東昇の犯行を撮影した安室朝陽は成績優秀ながら、母(黒木華)一人で育てられ、金銭的に困窮している少年であり、その友人の上間浩(前出燿志)、夏月の兄妹も家族内に問題があって抜け出したいと思っていました。朝陽が撮影した映像で昇を脅迫することを提案し、大金があれば現状を抜け出せると感じた上間兄妹もそれに賛成して、東昇との接触します。朝陽の冷静沈着さが昇との交渉を上手く進めていたのですが、昇がいつ牙をむき出しにするか分からなかったので、ずっとヒヤヒヤする展開が楽しめました。

また、前述のとおり、朝陽と静の間に恋が芽生えて、短い期間ながら2人が交流していく展開は観ていてなんともむず痒い感じがあって、少年少女の淡い関係が清廉で良かったです。

ストーリー終盤は予想外の展開になっていてとても面白かったです。

殺人犯と少年たちの駆け引きの面白さがストーリーに詰まっていて、とても楽しめました。

鑑賞日:2025年3月23日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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