デカいアトリエを自転車で回り、デカいキャンバスを動かす、焼く様子が最高。アンゼルム・キーファーの制作をワイズマン的に淡々と繋ぐだけでも映画にはなりそうだが、アンゼルム・キーファーの息子やヴェンダースの甥孫を動員してフィクションを形成。(ヴェンダースの甥孫演じる少年期のアンゼルムとアンゼルム本人が同じカットに収められる瞬間はダニエル・シュミット的なものを感じた。)
過去のアンゼルムだけでなくアンゼルム自身に「こうやって動いて」などと演出しているカットが多い。3Dの映像もひとつひとつの事物を選択して浮かびあがらせるフィクショナルなものである。ヴェンダースは撮影していくうちに見えてくる、というような態度でドキュメンタリーを撮っているわけではなく明確なビジョンのもとこの映画を撮影している。