ふじこ

ナイトスイムのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

ナイトスイム(2024年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

おさげの少女。夜にふと目を覚まして窓の外を見ると、自宅のプールに弟の玩具のボートが浮いているのが見える。
別室の弟は機械に繋がれたまま眠っており、家をそっと抜け出した少女はプールの底に沈んだボートを網で掬い上げようとする。
しかし足を滑らせてプールに落下、見上げた水面には母の姿が見えたので浮かび上がって謝ろうとするとそこには誰もいない。
ライトアップが点滅を繰り返し、怖くなった少女は急いで泳いで縁に掴まるが、その背後で弟のボートが浮かび上がる。
少し逡巡した後、縁から手を離して中程まで泳ぎ、ボートに手を伸ばそうとするものの微妙に動いて届かない。
するとその瞬間、短い叫び声と共に少女は水面下に消え、プールの周りには幾人ものぼやけた人影が立ち上がって覗き込み、テマガミ…と謎の呟きが聴こえる。


っていう始まり。こんな過去のあったお家に引っ越してきた、リハビリ中のプロ野球選手一家が主人公。
リハビリ中…と言うか、二次性進行形多発性硬化症 って診断されてたから進行を遅らせる為の運動に水泳が良い って言われたのかなぁ。
プール付きだし、賃貸じゃなくて購入して引っ越しばかりの生活とはオサラバ!って事で引っ越してくる。

プロ野球選手でありながら難病を患ってしまったレイは、引退のいい機会だったのかもとか言いながらも野球に未練アリアリな感じだったものの、プールでリハビリを続けてから医者も驚くほどに身体の状態は改善。ブランクがありながら息子の野球チームの練習で打った打球は球場の投光器のガラスを割るほど。
一方で、妻が泳ぐと謎の気配とライトの点滅。息子はプールの底にコインを投げて取る遊びで誰もいないのに次々とコインが降り注いだり、水中から見上げると誰かがいる気配がしたり、排水溝からおさげの少女の声がしたり。

プールパーティーを開いた日に、夫が他所の家の子を肩車して離さないままプールの深い方から動かなくなってしまい、暴れる子を見て助けに来たその子の親にはもう練習には来ないように、うちには近付かないようにと言われてしまう。
妻は病気の症状が出ただけだと思っていたのだけれど、ご近所の人に聞いたかつてあのプールで行方不明になった女の子の話を聞いたり、夫の様子がおかしなところから不審に思って調べると、あのプールではおさげの子以外にも沢山の人が行方不明になっている事を突き止めた。

おさげの子の今の家を聞いて訊ねると、かつて病気だったおさげの子の弟は元気に国際的な仕事でバリバリやっているらしく、逆に奥様は酸素ボンベが手放せないようだけれどとても誇らしそうだった。
最初は娘なんかいなかったと言い張っていたけれども、やがてあそこは家が立つ前から願いの泉があって、代償に欲望を叶えてくれるものらしい。そしてそれは"テマガミ"と言う崇拝の対象になったと。
水にもまた欲望があって、目覚めると命を奪い、その犠牲を以て誰かの欲望に水を注ぐ。
いずれおさげの少女が水に飲まれる事を知っていて、あえて何も教えずにそのままにしていたらしい。息子を救いたい一心で。
しかし、見返りを求める犠牲なんて愛じゃない と否定して急いで家に帰る妻。

一方家では夫の様子は益々おかしく、息子は先にプールに飲まれた愛猫の声を聞いて手を伸ばしてプールに落ち、急いで戻ってきた母が助け出そうと飛び込み、娘は父を呼びに行こうと家の中に駆け込むも、事前に水の入ったコップが勝手に落ちて濡れていた床で滑って転倒。
手にガラス片が刺さってスハスハ悲しそうにしてて(弟の命の危機じゃなかったんか)と思ってたら、完全に様子のおかしいレイに襲われて姉も命の危機。

一方で水の中で何倍にも広くなったプールで息子を捕まえたものの、恐らく今まで捧げられて来た人達がめちゃくちゃ邪魔してきてどっちが上かも分からなくなる。
でもおさげの女の子が現れて、レイがスマイルマークを描いた弟がなくしたコインを掌に乗せて落とすと、それは頭上に向かって落ちていく。上下が逆なのだと教えて貰い、なんとか水面へ這い上がる事に成功。あの子はいい子のままなのか…悲しすぎる。

息子が息をしてなくて慌てる妻の元にやってきたレイ。
愛には犠牲が付き物、と言って病院に連れて行く事を懇願する妻の首を持ち上げて締め上げる。
しかし娘がガレージから持ってきた父のバットでボカーって2回くらいして、戦って戻ってきて~ってしたら戻って来るレイ。
急いで息子を運んで病院へ行こうとするものの、プールの排水溝から黒いモヤがビャ~ってなって、テマガミー!ってなっている。よく観たら息子も頭がおかしくなってた時のレイみたいに血管が黒く浮き上がっている。水が彼を逃さないわ、このままじゃ危ない という妻にプールを振り返って、誰かが犠牲に…と呟きプールに飛び込んでいくレイ。黒いモヤの中に消え、次の瞬間にはもうただのプールに戻っていた。

激烈しょんぼりしている3人。この家を売ってどこへでも行ける と言う母に、でも他の誰かに同じことが起こる パパが嫌がるよ と子供たち。
重機がやってきて、プールを埋め立てるところで終わり。同じ服来てるから即日即決だ、良い事だね。

しかしこれ源泉プールって言ってなんかちょっと温い温泉的な事言ってなかったっけ?
保養所に健康ランド、この辺には多いのさ とか言ってたが…。あの特定の水湧きポイントじゃなきゃ回復&呪いはないのかね?

1回レイの病状が上向いたのって、猫ちゃん食ったら半分回復って事だったのかなぁ…。等価交換って感じでもなかったような?
スマヌ…スマヌ…って言いながらアリの巣ごと投げ入れたらどうなるんだろう…、猫ちゃんで劇的回復…アリさんで…すごい美肌…とかかな?
なんだかルールがすごい曖昧な上に、テマガミって結局なんだったのよ。勝手に欲望(レイの場合はまた元気になりたい)を読み取って勝手に叶えようとして適当な命をチョイスするのか?欲望主も勝手に選ぶの?
よく分かんない…最初(おっええ雰囲気ね)と思ってた時に"テマガミ…"とか囁きボイスが入った時点で実は ん?えっ?って思ってたんだけども。
なんかこう…スケールの大きさや泉の歴史も感じない、凡庸な作品に収まったなぁって。

言うほどナイトスイムでもないって言うか…。
ほんとに2024年の作品?ってなるくらい合成感がすごいって言うか…。

あのおさげの子だけどうして正気を保っていられたんだろう?母は 娘より息子がええんや…ってして見殺しにしたってのにさ。いい子だ。
だっせぇ文字を除いたら、ポスターの感じは好き。この雰囲気どこぉ?

非常~~に展開が読み易くて分かり易く、詳細は分かり辛い作品だった。
ジェームズ・ワンが撮ってよぉ~

あっ、息子が今まさに溺れてピンチ!の時に、エリオット(息子)に人生は酷だ この方が良い みたいな事言ってたやつ…ちょっと引っ込み思案な内気な感じはしますねって感じだったけど、別に もう人生つらぁ…とかなってなったと思うんですけど~急な息子全否定に えってなった。
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