あんじょーら

清作の妻のあんじょーらのレビュー・感想・評価

清作の妻(1965年製作の映画)
4.6
凄まじい映画でしたよ・・・追いかけてきて大正解の増村保造監督。これでまだ5つ目ですが、マジで天才的に上手い監督だと思います。




どうやら親子ほど年の離れた富豪の家に嫁いだおカネ(若尾文子)は、嫌気がさしているものの身動きが取れません。そんな中突然旦那が倒れ・・・というのが冒頭です。




え~音楽がずーっと鳴っている感じなんですが、それが例えは悪いですけれどモーツアルトのレクイエムが流れてると思ってください・・・もうそういう感じの映画です。




ここまで見てきて、やっと私は増村保造監督のやろうとしている事が理解出来た気がします。




そう言えば、昨夜NHKBSで(2020年4月26日夜)ヒトラーの演説がいかに大衆を熱狂させ、正常な判断を奪ったか?というドキュメンタリーを放送していて、つい全部見ちゃったんですが、同じような雰囲気を今も(政府の自粛要請に従わない店を、政府が公表する、という国に住んでるんすよね・・・マスクをどぶに捨てる金で買うのはまだ、我々が選んだ間接選挙のおかげで仕方ないと言えるが、ここまで下品な行動には・・・以下自粛)感じるわけです。そう今2020年現代も、ある種この映画の舞台の村も、そしてヒトラーの演説に熱狂した人々も、全く同じ世界に生きていて、簡単に自分のいる場所を正義とし、他者を簡単に悪と認定します。そして正義が自分の側にあると確信した人間がいかに残酷になれるのか?を表しています。




そして、そこに抗う個人を、増村保造監督はずっと見ているんですね。すげぇ私向きな監督な感じがします。




私はこの村人たちに、大変嫌悪を感じます。いくら知らない事とは言え、ここまであからさまに 田舎 を肯定的に描かれると、本当に日本って未文化の国なんだな、と思う次第です。




あ~日本最高って思ってる人に観て欲しいけれど、そういう人は見ないでしょうね~



とにかくモノクロの邦画を観るのにそれほど抵抗が無い、という人は是非見た方が良い傑作です。