morimotoseiichi

無名のmorimotoseiichiのレビュー・感想・評価

無名(2023年製作の映画)
4.0
 2024年6月10日(月)にテアトル梅田で鑑賞。20時15分からの回。シネマ3。

 勉強不足で歴史のことを知らないのと人の顔がなかなか判別できないのとでストーリーはほとんどわからなかった。

 2時間ぐらいずっとトニー・レオン(61歳)とワン・イーボー(26歳)のことを同じ人物だと思って観ていて、同じだと思っていた顔が同時に映ったので「あれ?」と思い、若い人と年配の人と2人いたんだなと。思い返せば同時に映っている場面はもっと手前でもあったのだけど、その時にはまた別の人物として観ていた。だから同じに見えたり別人に見えたりしてるわけよね。

 トニー・レオンというのはちょっと前に観た映画『非情城市』(1989年)で初めて知ったのだけど、それすらこの2人のどっちなのかわからないぐらいで、さすがに人の顔がわからないのにもほどがあるなと。ワン・イーボーというのは映画を観たあとにこのことを書こうと調べて初めて知った。

 映画を観た翌日になって気がついたのだけど、ポスターやチラシに使われている写真には2人が映っていた。こうやって並べられると、似てるなあとは思うけど、違う2人なんだと気づける。

 ストーリーはよくわからなかったけど、映画としてはよかったので、勉強のためにもパンフレット(税込1200円)を奮発して買った。そしてパンフレットはひと通り読んだのだけど、映画の背景となっている歴史や映画の中のスパイや二重スパイの関係についてはよくわからないままだった。

 映画の構成としては、クリストファー・ノーラン監督のように時間軸が複数あったり、回想として昔に戻ったりで、物語の筋を追っていくのはなかなか難しいかもしれないし、観おわったあとに頭の中で整理してよく考えないと、何がはじまりで何が終わりなのかはっきりしないかもしれない。舞台美術も衣装も俳優の演技もライティングもすばらくし、最前列だから音が大きく聞こえたのかもしれないということを考慮に入れて差し引くならば音楽も音もすばらしかった。渡部を演じる森博之さんの演技も役にはまっていてよかった。強いて言うなら、最後の方のアクションはくどくておなかいっぱいになったかな。映画あるあるではあるけど、あそこまでしつこくやられると、人間はそんなに強くないだろうという意識の方が優って、映画の世界から現実に引き戻されるので。

動画配信サイトで無料で観られるようになるかDVDの販売かレンタルに回ってくれば、もう一度観なおしたい映画。

 以下は映画の内容と直接関係ないこと。

 座席は最前列のA-4だったのだけど、A-6に座っていた観客が映画の途中に何度もスマホを取り出して画面を確認するので、そのたびに液晶のバックライトが視界に入ってとても不快だった。3週間続けて月曜日の晩にテアトル梅田で映画を観ているけど、毎週何がしかマナーの悪い観客がいて、マナーの悪い客は本当に絶えないなと。