ゆりな

ジョン・バティステ:アメリカン・シンフォニーのゆりなのレビュー・感想・評価

3.8
音楽をやっている人に刺さる内容でしょ、と舐めていたのですが、日常を生きる全ての人に刺さる映画。
主演はジョン・バティステだけど奥さんのスレイカの物語でもある。
「アイ・アム・サム」のように音楽が基点にあるけれど、家族や日常の愛の話でもある。

これオバマ夫妻のハイヤー・グラウンドなのか。通りで良いわけだ。

私が大好きになったきっかけグラミー賞の「フリーダム」の裏側でこんなことがあったなんて。泣いちゃった。
この年はビリーとフェニアスも最高だった。

彼が恵まれすぎた才能、どう見てもピアノを弾くのに有利で大きな手、パフォーマンスの映える体格。奥さんと幼馴染で彼女も有名、インスタで見た豪邸のセンスの良さ。
私のイメージはこれらなので、生まれながらのヒーローかと思いきや全然違って、また心打たれた。

驚いたのがフィルムのような映像。ドキュメンタリー映画だが、ひとつのお洒落映画。
分かっていたけれど、彼自身は気取ってなくて等身大。
有名になって暮らしはグレードアップしても、暮らしは変わらない平凡なところにもグッと来た。

正直、音楽の世界ってお金かけられるほど機材も編曲もチームもグレード上がって、強固で人気になれるけど、ジョン・バティステを見てると「そうじゃないな」という気持ちになるし、逆に音楽についてシンプルさを問われてる気分になる。
いくら表側を豪華にできても、音楽家は結局自分の頭と指で音楽を作るのだから、孤独だシンプルだ。

カーネギーホールの停電も持ち前の器量で乗り切る。
彼って本当にインテリジェンスで人ができていて、例えばだけどこの後最悪な事態が起きて全て無くしても、田舎の島暮らしもできるような人なんだよね。
どれだけのことを想い、日々何を考え、頭の中でどんな音が鳴っているのか一度覗いてみたい。
ゆりな

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