まぬ子

パーマネント・バケーションのまぬ子のレビュー・感想・評価

3.7
ベッドとラジカセだけの部屋、ゴミだらけのニューヨークの街並みや廃墟が危なげで絶妙。地球上にもこんなディストピアが!
退廃的で憧れるなぁ〜

「漂流してれば、孤独じゃないと思う事ができる」
住む土地だけでなく、仕事や恋人でも一つの所に留まれない人は多い。倦怠感に耐えられないのではなく、日常化することで薄まっていく自分に耐えられないのかも。
物理的に誰かといても孤独は紛れるものではないし、大抵は何かに没頭したり、みんな必死に孤独を紛らわせようとしてる。
映画などの娯楽も然りで、知らない作品を探すのも漂流と大きくは変わらないかもね。
でも、時々は立ち止まって孤独をじっくり感じて虚しくなる時間も大切。

鳴り続けてる不協和音が、主人公の心の空疎な感じにマッチしてた。鈍い鐘の音や飛行機の騒音、はずれたサックス…主人公が孤独を感じる限り、この音楽が美しい音になることはないんだろうな。

しかし、これが大学卒業制作とは!感性の繊細さと完成度の高さよ…
ドップラー効果のお話がすき。

# 134/2018
まぬ子

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