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パーマネント・バケーションのBeSiのレビュー・感想・評価

4.8
ジム・ジャームッシュ長編第1作。
落ちこぼれ気味の16歳の高校生アリーが、自分の周囲にも様々なアウトサイダーのいることに気付き、その出会いが自ずと、旅へ向かう自己の指針を決めていく......。


ジムの通っていた大学の卒業制作として作ったということですが......え、このセンス......凄すぎませんか!?本作が一番オフビート感があると思います。何の会話も無い、あの独特な "間" も出てきます。しかも、のちにジムの代名詞になるオムニバス形式の片鱗が見えるのも良い。アパートで、廃墟で、映画館で、病院で、ストリートで、船着場で......ん〜。この雰囲気がホントに好きすぎて溶けそうです。10代に焦点を当てているのも、ジム自身の経験があったからなのでしょう。分かるなぁなんか。10代でも、変わったことや新しいことがしたくなる。柄でもないことを考えたりする。人生に疲れたとか、どこか遠くへ行きたいとか、都会ではっちゃけたいとか。人生は永遠の休暇だなんて。多分自分も1回くらい考えてたんだろうなぁ。


だいぶ短めで終わりますが、ジム・ジャームッシュの瑞々しいオフビート感が味わえるだけでも嬉しいことと感じます。若々しいながらも、時折流れる不協和音とドップラー効果が、静かで美しくて詩的な雰囲気を掻き立てる、素晴らしい作品でした。主人公が部屋で踊り狂うシーンは必見です。
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